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中同協の動き
「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 15日号から

【円滑化法終了の影響調査】

「取引先の倒産」「資金繰り困難」など懸念

東京・京都・大阪・広島同友会の調査結果より


 各同友会では、中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)の終了(2013年3月)に対する会員企業への影響調査が行われています(関連記事)。東京・京都・大阪・広島の4同友会の調査結果の一部を紹介します。


 東京同友会では「会員企業実態調査アンケート」の中で円滑化法に関わる設問を設けました。「円滑化法を利用し返済条件の変更を行ったことがありま すか」の質問に対しては、「ある」が9%、「今後利用を検討中」が9%、「条件変更の必要ない」が56%となっています。「知らなかった」(18%)、 「条件変更を断られた」(1%)との回答もありました(図1)。

 「今後どのような対策を望みますか」の質問に対しては、「円滑化法の延長が必要」が27%、「やめたほうがいい」が19%、「円滑化法に代わる施策が必要」が30%となっています。

 広島同友会では、「経営環境と経営課題の調査」の中に円滑化法関連の項目を設けました。「円滑化法の終了によって金融機関との関係に問題は生じま すか」の問いに対して「リスケを行っているので心配がある」は2・9%、「すでにリスケの継続が難しいことを金融機関から伝えられている」が0・7%、 「特にない」が68・4%、「わからない」が22・1%となっています(図2)。

円滑化法終了による具体的影響は

 京都同友会では「中小企業金融円滑化法失効に関するアンケート」を実施。「中小企業金融円滑化法失効による貴社への影響(間接的なもの含む)はありますか」の設問に対して、「影響がある」は35・4%、「影響はない」が60・4%となっています(図3)。

 「影響がある」と答えた人に対する「どのような影響があるとお考えですか」との質問(複数回答)に対しては、「取引先の倒産」(44・7%)、「景気低迷による受注減少」(42・2%)、「資金繰り困難」(29・2%)の順に多くなっています(図4)。

 大阪同友会では「定点景況調査」(2012年10月〜12月期)の特別項目として円滑化法終了に伴う影響を調査しました(記述式)。調査に携わった阪南大学経営情報学部の関智宏准教授は、会員の回答の特徴を次のように分析しています。

 「多くの回答企業にとって、現時点で『自社への影響はない』もしくは『少ない』としている。しかしながら、懸念事項が大きく2点みられる。1つ は、取引先・顧客・外注先が影響を受ける可能性があり、倒産・廃業の不安がある点である。『直接自社への影響は限定的だが、協力工場の廃業、倒産などの懸 念はある』(製造業)というコメントが象徴的である。

 もう1つは、金融機関による与信管理がいっそう厳しくなるという懸念である。今後の資金繰りが厳しくなるというコメントがいくつかみられる。金融機関の対応の変化を注視したり、また金融機関との付き合い方を見直したりすることが求められている。

 ただし政府により対策が打ち出される可能性もあり、今後の動向を見守る必要がある(もちろん、政府の対策を期待するのでなく、自社の財務力を強化するなど自助努力も必要である)」。

 今後も地域や金融機関などの動向に常にアンテナを張りながら、自社の経営体質強化に取り組むこと、同友会としても必要に応じて機敏に政策提言・要望などに取り組んでいくことが重要になっています。

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