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シリーズ「金融機関とともに地域を考える」
「中小企業家しんぶん」2003年 4月15日号より

金融機関の審査能力と企業体質改善が課題

帯広支部金融懇談会から(中)


 北海道同友会帯広支部(会員数570社)が、金融機関との信頼関係を確立しようと行っている金融懇談会では、金融機関からはパンフレットなどを資料に経営実態が克明に説明されます。

 10行の金融機関と懇談する中で、金融機関の業務実績の開示も進んでいるとの印象を持ちました。各金融機関とも貸出量が増えていないので営業にしのぎを削っている状況をうかがうことができました。

「帯広金利」と借り渋り?
 余剰資金は、国債などに回っている例が多いようですが、国債を買っても利益を出すまでの利率は稼げないことから、本業での貸し出しをいかに増やすかが課題になっているようです。

 そのような状況から「帯広金利」という言葉があり、他の地域よりも金利競争が激しいようです。経営者からは帯広は倒産が少なくリスク負担が少ないので、安い金利でもペイできるとの指摘もありました。各金融機関からは「借り渋り」で困っているという冗談とも本音とも思える発言も出ていました。

延命だけの融資はできない
 その一方で、金融機関は貸し出しのルールを突然変更し、融資を絞ることもあるとの指摘も出されましたが、十勝管内をエリアとする帯広信用金庫、十勝信用組合などからは、十勝の企業から信用を失えば営業に大きな支障が出るので、金融機関側だけの都合で企業の融資をストップすることはない、ただし企業の将来性などを検討し、単に延命だけの融資は当然行うことはできないとの回答がありました。

 しかし、みずほ銀行からは企業の健全性を見ていくのは当然と、かなり厳しい見方が示されました。その点では、政府系金融機関は支店長の交代などでは融資姿勢は大きく変わらない、と参加した各企業から感想が出ていました。

 さらに、融資担当者の能力や権限を問う意見も出され、融資を断る場合も貸せない理由をはっきり説明されないと改善の方法がわからない、との不満が出ていました。今後は、貸せない理由の説明責任も徐々に定着してくるものと期待しています。

企業の情報開示と共有
 金融機関からは、決算結果を毎年報告してくる企業は少数派で、融資の依頼の時だけ持参する企業が多く、また土地や建物などの評価について正確に把握していない経営者もいて、融資の相談時に認識のずれが生じる場合があるとの指摘も受けました。

 懇談会に参加している企業は、決算書を取引銀行に説明していましたが、帯広支部会員全体としては実態を把握していませんので、アンケート調査なども検討することになりました。事務局に相談に訪れる会員の中には、厳しい決算のときもあるので、金融機関に定期的に情報を開示するのは不安だとの声も聞かれます。

 また、金融機関側も合理化の中で集金業務が減り、日常的な企業との接触が低下し、情報交換が少なくなってきたことも背景にありそうです。企業と金融機関の信頼関係で融資や経営アドバイスの内容が変わってきます。お互いの情報不足が疑心暗鬼を生む土壌になっています。

 金融機関との情報共有は経理担当者任せにせず、経営者自ら金融機関に足を運ぶ必要がありそうです。

北海道同友会東北海道センター事務局長 石戸谷和政

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