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中小企業経営を守り発展させるための緊急金融政策提言
中小企業経営防衛の緊急提言と
金融アセスメント法制定をめざして

中小企業家同友会全国協議会


はじめに

 21世紀が開けた今年、景況の後退とデフレ経済の傾向が明確になる中で、森内閣、小泉内閣が不良債権の「最終処理」策を打ち出し、再び金融機関による中小企業経営への影響が危惧される事態となっています。

 私たちはこの間、金融アセスメント法(「地域と中小企業の金融環境を活性化させる法律案」)の制定に取り組んできましたが、不良債権の「最終処理」に対応した6つの緊急金融政策を提言し、両方の課題を関連づけながら同時に取り組むことで、金融の「荒波」から地域と中小企業経営を守り発展させることを呼びかけます。

 以上の主旨をご理解いただき、関係各位のご協力、ご支援を切望致します。

 

1.中小企業経営を守り発展させるための6つの緊急金融政策提言

(1) 不良債権「最終処理」の中小企業への影響を最小限に抑えるため、国は次の措置をとること。

  1. 既に利用している制度融資の返済について、一定の要件のもとで返済猶予期間を延長する措置、又は最大10年まで返済期間の延長措置を認めること。
  2. 1998年10月から2001年3月まで実施された「特別信用保証制度」は、「貸し渋り」緩和に大きな効果をもたらしたと同時に中小企業への「最後の貸し手」の役割を果たした。不良債権「最終処理」期間から金融システムが安定化するまでの一定の期間、同様な制度でより中小企業が利用しやすいものを創設すること。
  3. 連鎖倒産で健全企業まで倒産に追い込まれることのないよう対応措置をとること。倒産防止共済制度では、共済金の貸付けの償還期間を5年から10年に延長し、金利も下げること。倒産防止関連融資は、機敏な対応と弾力的運用に努めること。
  4. 「破綻懸念先」の中小企業を不良債権処理する際に銀行は、直接償却の1年以上前に処理対象となっていることを事前通知し、当該中小企業の経営改善への最大限の支援を銀行に義務付けるとともに、5年以内の改善可能性があれば、直接償却を猶予すべきこと。また、「要注意先」の中小企業に対しても、要注意先に分類されていることを通知し、経営努力を促すよう銀行を指導すること。
  5. 事業者と金融機関の融資上の取引トラブルを調停あっせんする緊急の機関・窓口を金融庁又は都道府県に設置すること。さらに、金融取引トラブルについて、中小企業経営者の代表も参加した不服申立てのできる調停機関を設置するとともに、提訴中の案件については金融機関が処分を停止する数ヶ月程度の猶予期間を設け、解決をはかること。
  6. 中小企業が倒産した場合、個人の最低限の財産保障と再起できる条件を整備するため個人保証の徴求を一部制限する措置(例えば、事業者の再起・再建にとって大きな障害となる担保処理後の残債を削除すること等)をとること。また、経営者が倒産した際に家族との生活を維持し、再起ができるための「経営者失業共済制度」の創設を検討すること。

(2)中小企業向けの政府系金融機関は、大震災など緊急時や民間銀行で対応できない分野、政策融資など多様な中小企業の資金需要に対応した機能が期待されている。特に、不良債権「最終処理」にあたっては、中小企業金融のセーフティネットの役割が期待される。設立時の原点に立ち返ってそれぞれの金融機関の特性を生かして育成する政策方向をとること。政府系中小企業金融機関の整理統合を中止し、貸付限度額の引き上げ、長期低利の制度融資等の拡充を図ること。

(3) 金融庁の「金融検査マニュアル」は中小企業金融を人為的に不安定化させている。したがって、中小企業向け融資の場合には、金融庁は中小企業の実情に沿った別の基準の「マニュアル」を速やかに作成し、それを適用すること。

(4)ペイオフ解禁は、中小企業にかかわりの深い地域金融機関の預金の流失を促進させ、そのことが原因となって中小企業への融資の引き上げ、事業資金の中断などの可能性が高いばかりでなく、地域金融機関の存立を危うくする懸念があるので、2002年4月施行の預金保険法の実効猶予措置を直ちに宣言すること。

(5)金融機関の合併・破綻によって生じる取引先中小企業に対する事業資金のパイプを細くすることなく、資金供給の継続を保証する法制化措置を緊急にとること。

(6)中小企業に対する信用保険の保険準備基金、融資基金及び信用保証協会基金補助を大幅に増額し、普通及び無担保保険限度額の引き上げと保険料・保証料の一層の引き下げを実施すること。また、ペイオフ解禁に備えた自治体による公的預金の保全対策として金融機関への預託金方式の制度融資の見直しが進められようとしているが、預託金方式又は利子補給方式のいずれにせよ、いっそうの安定的な低利融資に努めること。

 

2.「地域と中小企業の金融環境を活性化させる法律案(金融アセスメント法)」の制定を進めること。

 この法律は、個々の金融機関の自主的取り組みを事後的に評価し、選択を利用者の判断にゆだねる仕組み。公正な取引条件の拡充と地域経済の発展に貢献する金融機関を選択することで、地域や中小企業にとって望ましい金融機関を支援し、育成することが狙いの法律です。

以上

調査 資料 対話 シリーズ「どうする政策金融Q&A
」 シリーズ「どうなる金融〜不良債権最終処理」 シリーズ「どうなる金融〜信金再編の余波」 シリーズ「金融機関とともに地域を考える」 シリーズ「金融機関とともに東京同友会と東信協・保証協会」

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