中小企業憲章と私

理念経営の実践が道をひらく

岡山同友会代表理事 土井 章弘((財)操風会岡山旭東病院院長)


 私が中小企業家同友会に入会して、早くも20年になります。その間、中小企業がこの日本の国の中で、いかに重要な役割を果たしているかを学ばせていただきました。

 中小企業は全企業数の中で99・2%を占めており、中小民間企業で働く人は、4320万人で、78%にものぼります。まさに、経済活動の中心的な役割を果たしていると言えます。そのことで、中小企業が雇用の源泉であり、地域経済の中心的存在であることを改めて感じます。

 しかし、多くの国民の中小企業への認識と評価は十分とは言えません。中小企業憲章の制定運動は、中小企業への国民の認識を高めるものと期待しています。

金融アセスメント法制定運動から学んだもの

 企業経営の中で、自分ではどうにもならない経営環境は、自らの手で、仲間と共に改善をアピールして行政や政治に反映していくことも大切です。そのことは、金融アセスメント法制定運動の活動の経験から学びました。私は学びの中で、ヨーロッパ・EUでは2000年に「欧州小企業憲章」を制定して、小企業は経済のバックボーンであるとの認識の下に、中小企業を軸とした戦略がとられ、実践されていることを知りました。ヨーロッパはさすがに進んでいるなと思います。

中小企業政策を国の基本的政策課題に

 翻って日本では、戦後、産業政策は、主として大企業を中心に運営されてきました。中小企業庁を「経済産業省の外局」と位置づけられている現状は、象徴的だと思います。

 中小企業は、地域の経済の担い手であり、新しい事業の創造、雇用の源泉、生涯学習の場でもあり、日本の経済や文化の発展で中心的役割を果たしてまいりました。このたびの中小企業憲章制定の活動は、これまでの中小企業の社会的役割を再認識し、中小企業政策を国の基本的政策課題として転換していく大切な運動であり、この運動を発展させることが、中小企業省への道を拓(ひら)いていく可能性をも秘めていると思います。

理念経営の実践が、中小企業憲章への道を拓く

 平和で、活力に満ちた、快適な社会にしていくためにも、中小企業憲章の制定に向けた学習と、それにふさわしい理念に基づいた理念経営を実践する企業集団を多数輩出することが、中小企業憲章への道を拓いていくものと思います。そのためにも、中小企業憲章のけん引車となる同友会会員は、良い経営者、良い会社、良い経営環境をつくる主体として、日々の会社経営で実践していくことが大切だと思います。

 私は病院の一経営者ですが、病院は地域密着型の地場産業との認識で、経営理念に基づいた経営指針を作成し、経営をおこなってまいりました。これからも、病院の社会的使命を自覚し、自助努力による企業家精神を発揮していきたいと思います。

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▼岡山同友会では、経営者フォーラムで八尾市中小企業地域経済振興基本条例に学ぶ分科会を設定したり、政策委員会を中心とした岡山県が掲げている「新ゆめづくりプラン」についての学習会などに取り組み、中小企業憲章学習運動を深めています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 9月 15日号から

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