中小企業憲章と私

お互いを尊重する企業連携から

中同協企業連携推進連絡会代表 橋本 正敏(橋本電子工業(株)社長/三重)


 原稿依頼が編集担当者から届いたとき、実は自分は、1度しか中小企業憲章について読んだことがないこと、その勉強会に1度も出席してないことに気づき、本来原稿執筆をお断りするのが筋であると思いましたが、依頼を断れない同友会の原則から自分なりの考え方を書こうと決心しました。中小企業憲章をよく勉強されて見える方々からは、お叱りを受ける内容かも知れませんが、お許し願いたい。

 少々荒っぽい話で恐縮ですが、国の借金が約800兆円、地方公共団体等が約600兆円、合わせて約1400兆円とも言われる借金を抱えて、日本中、二進も三進も行かなくなって地方は地方で勝手にやって下さい、という状況が長く続いております。

 約10年ほど前からは、産学官の共同開発(同友会異業種交流会では最近これを企業連携と呼んでおります。)が盛んに叫ばれ、地方の雇用と納税を負担、分担できる中小企業を育てようということも活発に実施されています。

 私どもも、三重同友会の「ビタミンみえ」に参加し、自社開発商品に四苦八苦しながら取り組んでおり、やっとここにきて自社商品が出てきた状況です。

 このような状況をどこかで見聞きしたような思いがし、それを調べてみましたら江戸時代に突き当たりました。江戸時代の各藩は藩の財政を良くするために地場の特産品をたくさん開発しております。現在、特産品と言われている商品は江戸時代に開発されたものが大半であり、今の時代の商品開発にも参考になります。

 藩に替わって今は県ですが、中小企業が自社商品(=特産品)を持つ地場産業となり、県税収の大半、県雇用の大半を担うようになれば、その結果としておのずと中小企業憲章の内容が達成されるのではないかと考えております。

 そのためには、中小企業の中からホンダや松下を作るのではなく、1社10億円の新商品を3年に1度くらい出せる中小企業を1000社作ると、3年に1度、1兆円の大企業が出来たと同じ効果である、という考え方が必要だと考えております。

 そして、お互いの企業理念を尊重できる企業群による企業連携から、ニッチ市場のオンリーワン商品を、愚直に次々と世に送り出していくことが、中小企業憲章を実現する1つの解であると思っております。

「中小企業家しんぶん」 2008年 5月 15日号から

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