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【15.03.11】【憲章・条例を生かす】41 愛媛同友会の条例運動の鍵は、「定石」と産学官連携! 愛媛同友会専務理事 鎌田 哲雄

 愛媛では11市9町ある自治体のうち、2012年10月「ふるさと愛媛の中小企業振興条例」、2013年3月「東温市中小零細企業振興基本条例」、2014年3月に「松山市中小企業振興基本条例」を制定しました。愛媛同友会の「『人を生かす経営の総合実践』を産学官連携の枠組みで条例運動を通して、地域と企業で実践する」方針の教訓を紹介します。

愛媛における条例運動の戦略

 愛媛同友会の条例づくり運動の戦略は2つあります。第1が慶應義塾大学の植田浩史教授が提唱している「実態調査」・「条例」・円卓会議などの「推進組織」の3つを合わせた「定石」による戦略。第2が産学官連携による戦略です。

松山市の条例で全国初めて同友会を明記

 東温市の条例の先進性と独自性は、名称にあります。

 東温市は実態調査を行った結果に基づき、「東温市中小零細企業振興基本条例」と、「零細」の文字を入れたのです。これは調査の結果「零細企業」が多いことが分かった結果です。

 東温市では市内全事業所の85・7%にあたる1164件の事業所を対象に調査を行い、73・7%という高い有効回収率となりました。

 松山市は、第1に中小企業関係団体の定義として「中小企業家同友会」が法制団体以外の経営者団体として全国で初めて条例に明記されたことです。

 第2は、条例の推進機関としての円卓会議を構成団体による完全独立型の外部組織と位置づけ運営していることです。

 第3は、東温市同様に実態調査を実施したことです。

条例制定の5つの鍵

 第1は、条例制定は「定石」で進めていくことが必要であるということです。

 第2は、産学官連携も条例制定運動も、プロデュース(経営政策)機能が必要であり、それを担うのは同友会であるということです。特に、産学官連携の担い手を発掘し、育ち合う関係を戦略的につくることが鍵です。

 第3は、「人を生かす経営」を総合実践している会員企業と日常の同友会活動が産学官連携を豊かにする鍵です。

 第4は、産学官連携のプラットホーム(基盤機能)の役割を同友会が担い、機能的関係づくりと人間的信頼関係づくりを発揮することが鍵だということです。

 第5は、「条例は、“地域における経営指針”です。ですから経営指針を実践している人が条例運動に関わることが条例を実効あるものにする鍵です」。条例運動に関わる全ての人が経営指針を実践することが今後の条例運動の課題です。

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