【11.04.11】東日本大震災被災地外影響調査「影響あり」約8割

首都圏は「計画停電」の被害大

 東日本大震災の経営への影響は、被災地以外の地域にも出始め、各同友会では震災の影響 調査を実施し、4月7日までに16同友会の集計が中同協へ寄せられました。 回答した 2852社中、「影響がある」48%、「今後影響がある」30%、あわせて78%の企業が「影響がある」としています。この調査結果をもとに、東京、愛知、大阪、福岡の四同友会は、資材不足や金融、雇用、自粛などの問題に関する政策要望を知事に提出しました。影響調査結果と政策要望などを紹介します。

すべての地域で深刻な影響

図1
 被災地外16同友会での影響調査では、「影響がある」と「今後影響がある」を足した 割合は16同友会平均で78%(図1)。同友会別には、山形九四94%、神奈川91%、長 野91%、滋賀90%、奈良88%、愛知84%、京都82%、東京81%などとなっており、遠く離れた福岡でも72%とその影響が現れています。

関西地域にも多い被災地との取引企業

 被災地域と「取引がある」とした企業は全体で33%で、地域的には山形94%、大阪 56%、京都50%と東北だけでなく関西にも取引企業が多くあることが分かります。
 影響の内容(図2)は、「被災地に取引先あり、部品や資材等の調達困難」52%、「 物資不足」49%、「交通困難による売上減、コスト増」38%、「被災地に取引先あり 、取引減少、債権回収困難などの影響あり」19%、「営業所や工場が被災した」14% 。
 建設資材が極端に入手できなくなっているほか、東北を生産基地とするさまざまな原材 料や製品の調達が難しくなってきている状況がうかがわれます。

図2

部品なく生産停止、自粛ムードも影響大

 記述式では、事業継続が危ぶまれるほどの厳しい現状も伝わってきます。
 「旅行のキャンセルが相次ぎ、2日間で1500万円の仕事がなくなった」(山形)、「 受注しても、部資材の納期が不明確で契約不履行になる恐れがある」(長野)、『自粛 』ムードによるキャンセルが多発し、売上が前年比の50%を維持できない」(京都)、「部品調達の問題で主力取引先の生産がストップしたり大幅減産となり、一時帰休状態」(滋賀)、「配管材料及び建築資材が全く入荷しない状態が現在起きている」(広島)、「原発事故により、すでに輸入日本食品の放射能検査が始まっている」(福岡)。

「計画停電」で生産停止も

東京や神奈川では、「計画停電」の影響が一番多くなっています。
「計画停電で、通信機器の停止に伴う営業スピードの著しい低下」(神奈川)、「計画 停電により工場が稼働できず、納期遅れ。同じ理由で部品も納品されてこない」(東京) 。
 また、被災地に直接取引のある企業は、「取引先業務停止、再開後の経費の徴収の懸念 」「工事代金回収が遅れ、資金計画の見直しが必要」など、資金繰りに大きな影響が出てきており、事業継続を懸念する声も出ています。