同友会紹介

私たちの考えるインターンシップ
中小企業の魅力広げ、教育・求人の一環として

2004年6月1日 中小企業家同友会全国協議会

1、インターンシップをめぐる経過と現状

「インターンシップ」の広がり

1997年旧「文部・労働・通産」の三省が、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」をまとめました。インターンシップ先進国アメリカでは、学生(生徒)の就業体験として「コープ教育」と「インターンシップ」が行われています。「コープ教育」とは学校教育と企業での就労を学期や年単位で交互に行うものであり、インターンシップは専門分野の仕上げとして、学生(生徒)が企業で見習いを行うことを指しています。日本におけるインターンシップは、その両者を含めたさまざまな解釈があり、「学習意欲喚起型」「採用直結型」「専門的職業意識育成型」などいろいろな形態の実践が行われています。そうした状況を踏まえ、三省による「研究会」では、インターンシップとは「学生(生徒)が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」としています。

97年の時点ではまだ大企業の6割が「インターンシップは不要」とし、「企業側にメリットはない」「採用に結びつかない」と考えていました。その後、大企業は急速にインターンシップへの参加を採用の条件にする方向で人事戦略の舵を切りました。それと呼応し、大学等の就職課も、雇用状況の悪化の中で、採用を視野に入れたインターンシップを促進してきました。

現在、若年層の失業率、離職率の高さが社会問題になりつつあり、学生(生徒)の問題意識を高めていくため、大学や高校ではインターンシップが急速に取り組まれはじめています。

同友会としての取り組み

同友会では98年に愛知、京都、愛媛などで取り組みが始まり、インターンシップを受けた学生(生徒)からは、「共に働くこと、真剣な働き方や働くことの楽しさに接することで、人生を考える幅が広がった」という成果が報告されています。一方、教育的配慮に欠けたインターンシップに参加した学生(生徒)は「アルバイトと同じように働かされただけだった」「コピーとりを命ぜられるだけでまったく無駄な3週間だった」などの感想も聞かれます。

急激にインターンシップに取り組む学校が増える中で、学校側では受け入れ企業に窮する事態も生まれてきており、同友会への期待が高まってきています。同友会にとっては、同友会活動への理解を広げ、新たなネットワークづくりのチャンスと言えます。

インターンシップの主人公は学生(生徒)自身であること、それは学校教育の一環であることを重視し、インターンシップについて同友会における考え方、中小企業で学生(生徒)を受け入れる場合の考え方をまとめてみました。

2、同友会におけるインターンシップ取り組みの意義

中小企業を日本経済の主役と位置付ける「中小企業憲章」の制定をめざす同友会にとって、インターンシップへの取り組みは、同友会や企業にとって産学官連携の一環であり、「労使見解」(「中小企業における労使関係の見解」)を柱にした、共に学び育ちあう環境を地域につくっていく活動です。そのことは、中小企業に対する正しい認識を学生(生徒)、父母、教師に広める社会教育運動でもあり、従来の学校教育への問題提起をしながら、同友会への理解を広げ、地域を変革していくものともなります。企業にとっては、地域における自社の役割を見直し、経営革新の契機となります。

  1. 中小企業でのインターンシップを経験することで、学生(生徒)が経営理念や中小企業の役割を理解し、学校は中小企業の発展を通じて豊かな地域づくりをめざす同友会の活動を理解することにつながります。継続的で信頼関係の保てる活動とすることが大切です。
  2. 同友会としてインターンシップに取り組むことは、優れた人材が中小企業で働く、若者が自ら起業するなど、共同求人活動と同様に、若い力を郷土に根づかせ、共に郷土の繁栄を築く壮大なロマンの実現へ向けての運動でもあります。そのためには丁寧な対応と同時に長い時間をかけて変革していく視点が必要です。
  3. 受け入れ企業になることは、自社を見直す契機となり、社員の経営理念への認識や働くことへの自覚が高まり、人材育成につながります。社内に受け入れ体制を作る中で、社内業務の整理・マニュアル化などがすすめられ、新卒採用・教育の基盤作りともなります。学生(生徒)を受け入れることは、企業が学生(生徒)の教育の一端を担うことです。同友会が進めている、経営指針を見直し、強い体質の企業づくりをさらに進めていくことになります。
  4. 学校教育に中小企業の現場がもつ人間形成力、教育力を生かすことで、学生(生徒)は、生きることや働くことについて、落ち着いて主体的に考えることができるようになっていきます。また、人間が生きるとはどういうことかを生身の姿から学び、すてきな働き方があることを知り、働くことの意義を考えていきます。次代を担う若者の主体性を大切にし、自立を促しながら、共に育ちあう関係を築いていきたいものです。

【注意点】

  • インターンシップは、学生(生徒)の教育、雇用、起業(新規事業づくり)の側面を持っています。文部科学省、厚生労働省、経済産業省がそれぞれの立場から促進していますが、同友会として取り組む意義を役員会で論議して明確にし、各同友会の状況に応じて、かかわり方を決め、取り組みましょう。
  • 会内の社員教育活動、共同求人活動、産学連携活動と連携した取り組みとなるよう、担当する役員・組織構成に配慮しましょう。また、役員は短期の輪番制などとせず、学校とのかかわりを継続的に持ちながら信頼関係を築き、学校教育についてともに考えていく環境をつくるよう工夫しましょう。
  • インターンシップの受け入れ企業となることは、企業体質の強化につながり、優れた学生(生徒)に選ばれる魅力ある企業づくりへ脱皮する契機となります。経営者自ら学生(生徒)に接して、経営理念を語り、学生(生徒)と育ちあう環境をつくりましょう。
  • 学校との事前の打ち合わせを重視し、学生(生徒)の自立を促すためにも、学生(生徒)を主人公にした取り組みとしながら、学校と同友会の合意を大事にし、成果を企業と学校の双方で共有できる体制を作りましょう。
  • 同友会としての事前事後の参加学生(生徒)の集合研修を行い、インターンシップへの学生(生徒)の構えを固め、レポートを提出してもらうことで成果を確認しましょう。また、同友会の行事に学生(生徒)が参加し、経営者と共に学ぶ機会をもうけることも実習の効果を上げます。

【それぞれの立場からインターンシップを考えると】

(1)学生(生徒)にとって

  1. 自立を促すきっかけとなる
  2. 働くことの楽しさを実感する
  3. 就職、企業のイメージが豊かになる
  4. 生きることに自信が出てくる
  5. 問題意識がみがかれ、学習意欲が引き出される
  6. コミュニケーションの大切さを理解する
  7. 中小企業を知る機会になる
  8. 企業家精神を学ぶ

(2)学校にとって

  1. 中小企業でのインターンシップでの学生(生徒)の変化、成長を通して学校教育の内容を再考するきっかけとなる
  2. 狭い進路指導ではなく、学生(生徒)の視野を広げ自立を促す指導に道を開く
  3. 集合研修や企業見学に参加することで、学校自体の視野が広がる
  4. 中小企業についての理解を広げ、日本の経済社会についての認識を深める

(3)企業にとって

  1. 自社の人材育成につながる
    ・自社の仕事に誇りを持ち直す
    ・受け入れ体制を整備すること自体が社内体制見直しの契機に
    ・学生(生徒)に仕事をわかりやすく説明するために、経営理念と自らの仕事のかかわりを見直す
    ・受け入れた学生(生徒)のレポートを教材にした社内研修の実施
    ・社会や地域に貢献することの具体的な意味の理解が全社的に広がる
  2. 自社を見直す契機に
    ・社内業務の整理、マニュアル化
    ・学生(生徒)の提案に基づく改善
  3. 中小企業についての正しい理解が広がり、学生(生徒)が就職対象として中小企業を考えるようになる
  4. 同友会理念を学校や学生(生徒)を通して社会に広げ、企業観、社会観、職業観などを変えていく

(4)同友会にとって

  1. 同友会理念を会の内外に広げるものとなる
  2. 同友会の活動への理解を広げ、学校や行政、地域との信頼関係を築いていくものとなる
  3. 学校や行政との対応で役員や事務局自身の力量が試され、成長の機会となる

以上のように整理することができます。

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