調査・研究

現状は小康状態だが、懸念はトランプ貿易戦争のゆくえ
DOR126号(2018年7〜9月期景況調査)速報

現状は小康状態、しかしトランプ大統領の保護主義政策は楽観視できず

 業況判断DI(「好転」−「悪化」割合)は4→6、売上高DI(「増加」−「減少」割合)は3→5、経常利益DI(「増加」−「減少」割合)は1→△2、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」−「悪い」割合)は5→8と、経常利益DIがマイナス以外は「好転」「増加」が目立ち、小春日和と言える状況である。しかし、トランプ大統領の保護主義政策により、米国内ではインフレ傾向などが始まっている。米中摩擦・自動車関税引き上げにより、先行き楽観できない状態になってゆくであろう。
 業況判断DIを業種別に見ると、建設業が5→9、製造業が8→6、流通・商業が3→1、サービス業が1→11と、建設業とサービス業が好転した。地域経済圏別では、北海道・東北が△6→△14、関東が11→9、北陸・中部が13→13、近畿が4→17、中国・四国が6→4、九州・沖縄が△5→5と、関西と北陸・中部のみが二桁のプラスであった。企業規模別では、20人未満で0→1、20人以上50人未満で8→6、50人以上100人未満で4→16、100人以上で15→9と、「好転」「悪化」が混在するが、すべてプラス圏。
 次期(2018年10〜12月期)以降は、業況判断DIが6→10、売上高DIが5→13、経常利益DIが△2→11、業況水準DIが8→15と、すべてが景気を押し戻す目論みであるが、トランプの懸念材料の顕在化とどちらが早いだろうか。次期の業種別の業況判断DIでは、建設業が9→6、製造業が6→16、流通・商業が1→6、サービス業が11→15と、建設業以外では、まだ押し戻す力が一定あるようだ。

豪雨災害の被災企業から新規の顧客・業務の獲得も

 採算面では、仕入単価DI(「上昇」−「下降」割合)が40→40で、特に製造業が53→53で高止まりしている。売上・客単価DI(「上昇」−「下降」割合)も10→11とやや上昇したが、仕入単価DI−売上・客単価DIの差は30→29となり、ほぼ横ばいである。金融面では長短の借入難度DI(「困難」−「容易」割合)の安易化傾向は変わらず、資金繰りDI(「余裕有り」−「窮屈」割合)もプラス側(余裕有り)を維持しており、安定している。
 雇用面では、正規従業員数DI(「増加」−「減少」割合)は11→11と横ばい。臨時・パート・アルバイト数DIは5→3と減少した。所定外労働時間DI(「増加」−「減少」割合)は△14→△7と増加。また、人手の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△43→△47と若干不足感が強まった。設備投資では設備の過不足感DI(「過剰」−「不足」割合)は△21→△18と若干不足感が緩和した。
 経営上の問題点では「従業員の不足」が38%→42%と、5期連続で1位となった。また、「人件費の増大」が32%→30%と減ったが2位につき、「仕入単価の上昇」が27%→27%で単独3位に上がったのが目に付く。特に製造業では、「下請業者の確保難」が14%→17%に上がってきたのが目に留まる。
  経営上の力点では、初めて「付加価値の増大」(50%)が「新規受注(顧客)の確保」(49%)を上まわった。会員からは、「豪雨災害の被災企業から新規の顧客・業務の獲得が得られるようになってきた。それを継続性に変える努力中である(広島、ビル管理業・警備)」の声も。「継続性に変える」には、新規の顧客が納得する付加価値が必要であると考える。

トランプ政権、対日干渉でも自動車の数量規制や為替条項などを要求する可能性

 トランプ政権は9月24日、中国に対する追加関税の第3弾を発動した。家具や家電など約2000億ドル(約22兆円)分の品目に10%の関税をまず上乗せし、年明けにも25%に引き上げる。米国の消費者にも製品値上げなど直接の影響が及ぶのは必至だ。トランプ政権は北米自由貿易交渉(NAFTA)再交渉を妥結に持ち込み、日本や欧州、中国との通商交渉に軸足を移す。自動車や鉄鋼に高関税を課すと脅しかけ、相手国に国際ルール違反の輸出数量規制をのませる手法が目立つ。対日干渉でも日本政府は物品貿易協定(TAG)と言っているが、実質的には日米FTA(自由貿易協定)と変わらないと言われている。自動車の数量規制や為替条項などを要求する可能性があり、景気に及ぼす影響は大きい。

(2018年10月10日発表)

*本文中特に断りのない限り、業況水準以外は前年同期比
*詳細は2018年10月31日発行のDOR126号をご覧下さい

[調査要領]
調査時    2018年9月1〜15日
対象企業   中小企業家同友会会員
調査の方法  郵送により自計記入を求めた
回答企業数  2,416社より967社の回答をえた(回答率40%)
   (建設175社、製造業307社、流通・商業293社、サービス業184社)
平均従業員数  役員を含む正規従業員39.24人
       臨時・パート・アルバイトの数29.21人

PDF資料はこちら(PDF488KB)

このページの先頭にもどる

携帯用二次元バーコード
携帯対応について

更新情報RSS