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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2002年12月5日号

▼ 話題の時代劇映画、山田洋次監督『たそがれ清兵衛』を鑑賞。うわさに違わず笑いと涙の連続、胸がキュンと締め付けられます。迫力満点の殺陣(たて)に映画のおもしろさを堪能。東北訛(なま)りの美しさも再発見

▼映画館を出たところで、突然、民放TVのインタビューを受けました。ねらいは、不況、リストラの不安渦巻く世相にあって、この映画はサラリーマンの共感を呼ぶものがあるのではないか、と

▼薄給で暮らしに追われる下級武士は、給与が伸びず、加えて税や社会保険料負担増を目前にした平成庶民との共通点は大。清兵衛が理不尽な藩命に従って同僚を手討するところなどは、大組織に組み込まれた弱者の抵抗できない悲劇。しかしその極限状況下でも精いっぱい相手を思いやる人間性の発露が、現代の非情な局面で生きざるをえない個々人の胸に重なってきます。そして最も頼れる家族愛にたどりつく

▼インタビュアーが清兵衛とノーベル賞受賞者田中耕一さんの共通点を質問してきたのにはいささかビックリ。出世を望まずひたむきに生きるさわやかさは似ている。伴侶を愛することも

▼映画は見る人の立場、角度で印象、感動も異なります。視点を変えてもう1度見たくなりました。

「中小企業家しんぶん」12月5日号より


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