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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2003年 3月25日号

▼ そろそろ関東も桜の季節である。そして、ほどなく新学期が始まる。澄んだ青空に淡いピンクの花をいっぱいに広げる桜は、ピカピカの小学校1年生に何よりも似つかわしい。それぞれ進学し希望とちょっぴり不安もどこかに持つ少年たちにも、いよいよ社会に船出する若者にとっても、青い空と淡いピンクは門出の心象風景になじんでいるようだ

▼お花見という文化は、中国から渡来し、8世紀初めには奈良の都でも宴が開かれ、その様子は万葉集でもうかがえる。ただその花は、中国渡来の文化であるから、梅の花であった。それが9世紀の初めにはもう桜に変わり、10世紀には花といえば桜になっていたようだ。桜の「さ」は、田の神を意味し、「くら」は拠り所、つまり「さくら」は田の神のお出まし、つまり稲作りが始まる信号であったようである

▼瑞穂(みずほ)の国の仕事始めを彩(いろど)る花が桜であったということになる。新入学や新社会人に似つかわしいのも故なきこととは思えない。今その瑞穂の国が先進国の中で、食糧自給率最低になっている。地球人口の爆発的増加予測は、先行きの食糧問題を提起し、自然環境保全の問題と並ぶ課題でもある。お花見酒だけが盛んになっては先行きが心配される。

「中小企業家しんぶん」 3月25日号より


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