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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2003年 6月5日号

▼今年は天才童謡詩人・金子みすずの生誕100年に当たります。彼女の遺作が見直されたのは26歳で自ら命を絶ってから半世紀以上たってのこと。郷里山口の自然や人々の生活を無垢(むく)な目とやさしい心で綴った詩は時代を超えて私たちの胸を打ちます

▼「大漁」/朝焼小焼だ/大漁だ/大羽鰮(いわし)の/大漁だ/浜は祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の/鰮のとむらい/するだろう。人間中心の視点だけで考える思考の浅さにギクリとさせられます

▼「星とたんぽぽ」/青いお空の底ふかく/海の小石のそのように/夜がくるまで沈んでる/昼のお星は眼にみえぬ/見えぬけれどもあるんだよ/見えぬものでもあるんだよ(略)。分かったつもりが表面をさらりとなでただけ。見える範囲だけで判断していないか。ごう慢になりがちな己のいましめに

▼最後に「私と小鳥と鈴と」。私は小鳥のように空は飛べないが地べたを速く走ることはできる。私は鈴のようにきれいな音は出せないが、たくさん歌を歌うことはできる。「鈴と、小鳥と、それから私/みんなちがって、みんないい」。ちがいを認め合い、その良さを尊重しあう、人と人とのかかわり合いの根っこのところを教えられます。

「中小企業家しんぶん」 6月 5日号より


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