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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2005年 3月 25日号

▼ニッポン放送の買収をめぐり、東京地裁が同放送の新株予約権発行を差し止めたことで、議論がわいている。本件内容の是非は別として、90年代はじめ、とくにアメリカから、日本の特殊現象だとして法人の株式持ち合いに強い批判があったのを思い出した

▼理由は市場の閉鎖性と非競争性の2点であったが、国内の専門家からも問題視されていた。法人の株式持ち合いは、権利の詐取・株式優位・経営者支配の3点に問題があるとの指摘である(『日本社会と法』岩波新書、94年刊)。持ち合い部分は実質相殺されるべきなのに株主権は行使されている

▼所有株トータルによってグループ企業が優位に立ち、派遣された社長個人が株無所有でも100%経営を支配し、かつそれにもかかわらず失敗したときの責任はグループ所有株の無価値化分に限定される。概要はそういう内容だったが、それに比べて中小企業家の無限責任に等しい厳しい現実が胸をよぎった

▼株式持ち合いも、株式分割による錬金術的資金作りも合法なのである。一方、失敗すれば、家族の住む家も失う命がけの中小企業の、物的担保や連帯保証を軽減すると、モラルハザードが心配という声のみ聞こえてくるのだが。

「中小企業家しんぶん」 3月 25日号より


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