<< 中小企業家しんぶんのトップに戻る

中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2005年 6月 5日号

▼4月25日発生したJR西日本「福知山線」の脱線事故は、死者107名、けが人450名という大惨事になりました。事故原因の究明は当局の手で進められてはいますが、JR西日本の利益最優先の経営姿勢には慄然(りつぜん)とさせられます

▼事故車両に乗り合わせた運転手がさっさと現場を離脱する、ボウリング大会、宴会だけは「予定」通り開催される。業務ミスに対しての懲罰的「日勤教育」。顧客に背を向ける経営体質では、健全な労使関係が生まれるはずもありません

▼驚くべきことに、同社の経営理念には「安全」をうたった文言が含まれていません。1987年民営化後に作成した経営理念前文は「基幹産業としての鉄道の活性化に努めるとともに、地域に愛され共に繁栄する総合サービス企業を目指す」などと記されていますが、「安全」の文言はないそうです(5月14日北日本新聞)。生命を預かる交通輸送機関は、人命の安全を期することこそ第1の使命ではないか

▼同社は経営理念の抜本的見直しに着手するとのこと。これを他人事とせず、これを機に、経営理念が当社の存在意義・使命を正しく表現しているか、その理念が現場で空文化していないか、改めて確認したいものです。

「中小企業家しんぶん」 6月 5日号より


このページのトップへ