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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2005年 11月 5日号

▼教育学の泰斗(たいと)、東大名誉教授大田堯先生の自宅で毎月開かれている千葉同友会の教育懇談会は、150回を超えました。7月の全国総会(千葉)では「共に育つ(共育)とは何か」をテーマに分科会報告をしていただきました(『中同協』75号所収)

▼分科会冒頭で夜間中学記録映画「こんばんは」を上映。事情があり学校に行く機会を失った人たちの学ぶ場である夜間中学。大田氏は、年齢、人生経験、職業、国籍も違う夜間中学を「鈍行列車」にたとえます。つまり、一人ひとりの違いと内発性(やる気)を尊重し、共に育ちあう学校。鈍行列車の行き先は「人間性の開花」であると

▼他方、日本社会の教育体系(小、中、高、大学)は特急列車ではないか。急いで人材を束にして養成しようと促成栽培のラインを引く。若者は競い合って特急列車に乗り込まされる

▼小林一茶の句に「かたつむり そろりそろりと 富士の山」と大田氏が紹介。「鈍行列車」のたとえは、人育てを原点から考えさせるだけでなく、中小企業経営のあり方への指摘とも受け取れます

▼大田氏は87歳。「同友会の共に育つ活動に期待しています」と握手を求められた手の温もりが思い起されます。

「中小企業家しんぶん」 11月 5日号より


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