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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2007年 1月 25日号

▼ちょっとしたいきさつから野良猫の子猫を飼うことになった。生後1カ月足らずの子猫3匹を抱えた野良猫が、仮の住まいを人間に追われたらしい。どこか安住の場所を求めて移動していた途中、1匹が側溝に落ち脱落した

▼親は先行した2匹を目で追いながら、何度も側溝をのぞき落ち込んだ子に呼びかけたが、最後は意を決したように2匹の子を追いかけて姿を消したという。一部始終を見ていた近所の人が、どぶネズミのようになっている子猫を拾い上げ獣医のところへ。追われた時に人間にぶたれたらしく傷で弱っていた

▼傷は右目の脇で、涙腺もだめになったのか涙で溢(あふ)れていた。命は取りとめ3週間経過した。その方の家には、既に拾い猫が2匹いた。死線をさまよった子猫に手を尽くす家人にやきもちを焼くのだという。そんな経緯でわが家の一員になったのだが、野良の子の野良だから「刷り込み」が終わっていない

▼しかも、人間に追われ危害も加えられているので、人間を怖がり音におびえる。生後2週間前後に人間に優しく触れられる刷り込みの瞬間が必要なのである。数カ月、腫れ物にさわるようなスキンシップを重ね、ようやく家族には甘えるようになってきた。

「中小企業家しんぶん」 1月 25日号より


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