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中小企業家しんぶん

コラム「円卓」のバックナンバー

●2017年 6月 25日号

▼「…み、皆さん、こ、こんにちは」で始まったのですが、思い切り息を吸って最初の「み」が出てくるのに20秒はかかっていました。昔、通ったことのある話し方教室での1コマ。授業前から演壇に立ってスピーチの練習をしていた青年です。つっかえながらでしたが「頑張って練習しているんだな」と、私も気軽に見ていました。しかし、授業中の本番のスピーチになったら冒頭のような状態。いわゆる吃音というものです

▼この教室、必ず3分間スピーチがあって、それに対して先生がコメントします。こんな状態に対して、何をコメントするのだろう?と固唾(かたず)をのんでいたところ、「すごく良くなりました!」とのこと。「以前はどうだったんだ?…」

▼その時に改めて感じたのです。私たちはうまくいかないことを「人のせい」「環境のせい」にしがち。だけどそれは絶対的な間違いだと。吃音を抱えた青年、自分の弱みをそこまでさらけ出すことへの抵抗が無いはずはありません。だけど、このままでは自分の人生を切り開いていくことは絶対にできない!と厳しい環境に身を置いているのです。自主・民主・連帯の出発点、この自助努力を何よりも大切にしたいと改めて思います。

「中小企業家しんぶん」 6月 25日号より


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