『公共事業』子育て支援企業など入札時加点が27県~内閣府男女共同参画局が調査

公共事業の入札で談合や落札価格のダンピングが問題となる中、入札制度の見直しを行う一環として、入札参加企業における男女共同参画、子育て支援の取り組みなどを審査項目に加える自治体が増えてきています。

 内閣府男女共同参画局が各自治体に対し昨年8月に実施した「公契約におけるポジティブ・アクションに関する調査」では、27県、3政令指定都市、14市町がのべ60の制度を導入、うち入札参加資格審査時が81%、総合評価落札方式が12%、指名競争入札7%となっています。「ポジティブ・アクション」(積極的改善措置)によって改善しようとする分野は、仕事と家庭の両立支援72%、女性登用5%などとなっており、入札時には加点が9割、優遇1割となっています。

 本調査で「公契約におけるポジティブ・アクション」とは、「事業者等における男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスまたは子育て支援の取り組みを促すという観点から、入札の際に、事業者等に対して、これらの取り組みの推進を事業者の評価項目の1つとするなどの措置」をいいます。

 この調査結果を受け、同局では「公契約におけるポジティブ・アクションに関する事例集」を5月に発表しています。

次世代育成で加点、優先指名 公共工事、物品調達【福島県】

談合問題で揺れた福島県では、2006年度から入札改革に取り組み、物品調達における優先指名(選定)、建設工事入札に関して、子育てを応援している企業などの優先選定や加点する方式を抽出試行しています。

公共工事入札時の加点

 公共工事での入札制度は、06年度までは24億1000万円未満の工事について主に指名競争入札でしたが、07年度からは条件付き一般競争入札を主とし、総合評価方式は06年度から並行して抽出試行しています。

 総合評価方式とは、落札価格だけでなく総合的な企業評価を導入して、落札企業を決める方式で、「簡易型」の加算点は30点。そのうち11点が「地域貢献」度の評価となっており、障がい者雇用や次世代育成支援、地域防災ボランティア活動や当該工事を県内企業にて行うなどが加点対象となっています。

 昨年度は公共工事2610件中、84件(3・2%)について抽出試行されました。

 また、県が発注する建設工事の入札資格は、客観的事項(経営事項審査)と主観的事項の評点を合算して企業をランク付けします。790点満点中7割が客観点、3割が主観点となっています。

 主観点に工事成績や下請け発注率、障がい者雇用状況などのほか、次世代育成支援企業認証では、「子育て応援」中小企業認証10点、「仕事と生活の調和」推進企業認証10点が加算されています。

物品調達での優先指名

 県の出納局が取り扱う、50万円以上の物品調達については、「次世代育成支援企業認証」を受けている企業を優先指名し、昨年度は20社に対し719回指名され、うち155件が契約に至っています。

「中小企業家しんぶん」 2008年 6月 15日号より