組織率10%超える支部の活動より(6)【北海道・帯広支部】地域の期待に応えて~信頼関係を構築

 中同協では、地域に責任の持てる同友会づくりを進めようと、組織率10%をめざしています。組織率が10%を超える支部の活動を紹介するシリーズの6回目は、北海道同友会帯広支部を紹介します。

組織率は地域の期待に応える実践のバロメーター

 北海道同友会設立から6年後の1975(昭和50)年8月に帯広支部が設立し、今年で設立35周年になります。すでに20年前より組織率10%を超え、今年度は青全交開催をきっかけに750社会員を達成。組織率も15%を超えました。

 帯広支部は、札幌より東に約200km、北海道東部に位置する人口17万人の帯広市を中心に、十勝管内1市18町村(人口約35万人)を範囲に活動しています。企業数は、4887社(06年事業所統計)となっています。

農業王国で生まれた「農業経営部会」

 帯広支部は農業王国・十勝を活動エリアとし、農業が地域経済の基盤となっていることを背景に、1989年に全国に先駆けて農業経営部会(農経部会)が設立されました。日常的に中小企業経営者と農業経営者が互いに学び合う環境が醸成され、現在は帯広支部会員の1割は農業経営者が占めるまでに至っています。

 また、農経部会設立時より開催され、昨年第21回目となった収穫感謝祭では、会員企業の社員やその家族を中心に、毎年3000人を超える来場者があります。経営者のみならず会員企業の社員にも浸透し、毎年楽しみにしている方が大勢います。

 さらに昨年より農商工連携人材育成セミナーを開講し、学び合いからさらに踏み込んだ新事業・新商品開発の連携へ向けて積極的に動き出しています。

地域経済と地域教育の担い手として

 帯広支部設立時より、求人委員会、共育委員会が中心となり地元高校への積極的な協力を行ってきました。高校生向けの講話や就職時の面接指導、教師・父兄との懇談会を通じて地域の中小企業で働くことの意義、意味を伝え理解を得てきました。

 2000年には地域教育プロジェクトを発足させ、高校生のインターンシップに積極的に取り組み、受入企業一覧の作成やインターンシップマニュアルの作成、教員の就職指導用教本『会社研究ハンドブック』の発行、さらには高校生が企業に入り込み研修のみならず商品開発や展示即売会までも行うという、十勝型実践インターンシップ「ジョブちゃれ」などを行っています。

 また、学校現場、行政、受入企業の意思疎通や問題点共有のために、北海道教育庁十勝教育局、帯広市、高校(校長、教頭、進路指導担当教員)との連携を図るため「地域教育協議会」を発足させるなど、帯広支部が地域のキャリア教育の拠点となっています。

 こうした実践の積み重ねが帯広市をはじめとする行政機関との信頼関係の構築へとつながり、2006年より同友会が呼びかける形で、帯広商工会議所と北海道同友会帯広支部の合同特別プロジェクトとして、帯広市の担当部署を巻き込んだ合同勉強会、意見交換検討会議等を行い、2007年の帯広市中小企業振興基本条例制定へとつながっていきます。

組織率10%を瞬間最大風速で終わらせないことが重要

 このような取り組みを背景に帯広支部は高い組織率を誇り、また高い組織率が地域や行政・金融機関との信頼関係を構築します。

 一時的な会員増強運動による組織率に一喜一憂することなく、常に地域から必要とされる存在としての同友会活動が求められているのではないでしょうか。

北海道中小企業家同友会 事務局 岩本聖史

「中小企業家しんぶん」 2010年 1月 15日号より