組織率10%超える支部の活動より(9)【北海道釧路支部】10%プロジェクトで増す存在感

地区会網で「点ではなく面」の活動

 釧路支部は、道内で4番目の支部として1975年6月に設立されました。

 釧路は東北海道の経済の中心都市として発展し、紙パルプ、石炭、水産を基幹産業として発達してきました。また釧路湿原に代表される豊かな自然が残る、人間と自然が共存する地域です。管轄する地域には約27万人が暮らし、法人数は3400社を数えます。同友会はこうした環境の中で深く地域に根ざす学び合いの会として成長してきました。

10%プロジェクト

 釧路支部は全国の同友会に先駆けて「同友会に入って私とあなたの住む地域を良くしよう」というスローガンのもと2003年4月から組織率10%プロジェクトを実施しました。

 2006年7月に石川県で開催された中同協第38回全国総会の分科会で報告した横地敏光支部長(当時)は「組織率を10%にすると地域における存在感が変わってくる。同友会会員であることが一人前の経営者としての必要条件になる」と、同友会活動が地域にもたらす影響力について言及しました。

地区会の誕生

 釧路支部では2003年から2005年にかけて厚岸、白糠、摩周という3つの地区会が次々と誕生しました。同友会活動が人口1万人規模の地方に進出したことを表す出来事でした。

地区会の誕生によりそれまでは冬季の例会参加を諦めていた地方の会員も独自に例会を開催し、学び合うことが可能になりました。「地域における存在感」はこれらの地方でより強まり、特に厚岸地区会での組織率は25%と高率です。地区会でも独自の学びの輪が拡がり、地域についてより深く知るため「厚岸歴史講座」を2004年に開講し、延べ700人の町民が参加し、その成果は『真実のかたりべ』という1冊の本としてまとめられました。

存在感の結晶として

 現在、釧路支部の会員数は470社、組織率は14%です。地域での存在感を増した釧路支部は条例制定運動も並行して展開しています。5年前から運動を開始し、2009年4月に釧路市で「中小企業基本条例」が施行され、現在は地域経済の具体的振興策を検討する「中小企業円卓会議」や地域経済分析を行う「地域経済推進力研究事業」を行っています。

 さらに、2011年4月の制定へ向けて厚岸、摩周(弟子屈(てしかが)町)、白糠の3地区会が運動を進めています。同友会が存在感を増すことによってできた結晶が、中小企業振興基本条例と言えます。

 釧路支部は積極的に全国大会へも参加し、学んだことを地元へ還元しています。その還元をより広範にするため地域全体を網羅する地区会網を利用し「点ではなく面」でとらえる同友会活動を行っています。

北海道同友会釧根事務所 事務局員 栗谷秀実

「中小企業家しんぶん」 2010年 3月 5日号より