組織率10%超える支部の活動より(10)【北海道しりべし・小樽支部】

地域に根を張った活動で、大きな存在感を発揮!

 しりべし・小樽支部は、人口13万人の小樽市をはじめ、余市町、岩内町、倶知安町、ニセコ町などがある後志(しりべし)管内(人口約24万人)で活動を行っています。

 小樽は、明治、大正期にはニシン漁が活況を呈し、全国に先駆けて鉄道や港が整備され、大正末期には銀行が20もひしめき、「北のウォール街」と呼ばれました。

運河の街から

 支部が設立されたのは1973年です。北海道同友会の初代代表理事は、小樽の不凍給水栓メーカー・(株)光合金製作所の井上良次さん(故人)ですが、「小樽にも、身近に学ぶ場が必要」と、小樽経済で活躍していた経営者が中心となり、支部が誕生しました。

 この当時は、全国的にも有名となった「小樽運河保存運動」の全盛期。「歴史的街並みを残そう!」と小樽市民が立ち上がり、その中心メンバーに同友会会員の姿もありました。

 また、数々の学びと交流を通し、「後志地域全域に学びの場を!」という機運が高まり、1984年に余市町を中心とした北後志地区会が、1986年には倶知安町を核とする山麓(さんろく)地区会と、岩内町のある岩宇(がんう)地区会が発足します。そして、2002年には支部名を「しりべし・小樽支部」に改称し、より幅広い支部活動を志しました。

地域に根を張って

 後志地域は、北海道でも有数の農業地帯。米や野菜に加え、果樹栽培も盛んです。

 2003年に農業経営部会が発足後、料理人の集まりであるⅵ全日本司厨士協会小樽支部と連携して、食と農を通じた地域の新たな可能性を模索しています。ニセコ町で開催する「羊蹄山麓味覚フェスタ」には、来場者が600名を超え、地域の食の現状と課題を学び、実際に地元食材を使った料理も堪能できます。食育や地産地消の大切さを発信し続け、2008年には「農林水産省生産局長賞」も受賞しています。

 また、地域の将来を担う人材育成活動として「羊蹄山麓大学」があります。前支部長の武内一男氏(故人・横関建設工業(株)会長)が提唱し、 2010年度で第7期を迎えます。会員でもある小樽商科大学、ようてい農業協同組合などの協力のもと、地域の歴史、文化芸術、中堅幹部の役割など、幅広いテーマで学び合っています。

組織率は11・1%

 井上一郎支部長((株)光合金製作所会長)は、「中小企業は地域経済の背骨。会員増強は、まさに地域を元気にする近道」と、いたる所で会員増強の大切さ、楽しさを語り続けています。2007年度から3年連続で増強プロジェクトを展開し、現在の組織率は11・1%。会員数は400社目前となりました。

 今年度は、会員同士の商売を活発にし、地域を元気にすることを目的にした「ビジネットしりべし」や、沿岸漁業者の活躍が光る「水産経営部会」などの新たな部会も誕生しています。

 会の内外のネットワークが今まで以上に重視される時代。地域や企業の抱えている課題にもう一歩踏み込む同友会を目指し、活発な議論が交わされています。

(北海道中小企業家同友会 事務局 境井 健志)

「中小企業家しんぶん」 2010年 3月 15日号より

 支部が設立されたのは1973年です。北海道同友会の初代代表理事は、小樽の不凍給水栓メーカー・(株)光合金製作所の井上良次さん(故人)ですが、「小樽にも、身近に学ぶ場が必要」と、小樽経済で活躍していた経営者が中心となり、支部が誕生しました。

 この当時は、全国的にも有名となった「小樽運河保存運動」の全盛期。「歴史的街並みを残そう!」と小樽市民が立ち上がり、その中心メンバーに同友会会員の姿もありました。

 また、数々の学びと交流を通し、「後志地域全域に学びの場を!」という機運が高まり、1984年に余市町を中心とした北後志地区会が、1986年には倶知安町を核とする山麓(さんろく)地区会と、岩内町のある岩宇(がんう)地区会が発足します。そして、2002年には支部名を「しりべし・小樽支部」に改称し、より幅広い支部活動を志しました。