【経済データを読む】企業規模で大きな格差

平成21年度中小企業実態基本調査速報より

 中小企業庁「平成21年中小企業実態基本調査速報(平成20年度決算)」が3月31日に発表されました。調査時点は2009年8月で、ほぼリーマンショックから1年経過したころ。有効回答数は5万5635社で、その回答を基に中小企業の実態を推計しています。

 中小企業数は373万6512社(昨年は375万6685社)、従業者数は、昨年比3.9%減の2943万人、売上高は、2.3%減の534兆 628億円といずれも減少。特に、経常利益は13兆9627億円と25.2%も減少しており、1企業あたりでは、個人企業と比べ、法人企業の経常利益の減少幅(38.3%減)の大きさが目立ちます。

 今回、特に注目されるのは、利益面での規模別格差の大きさです。これを業種別・規模別でみると、さらにこの傾向が明確になります。税引き後利益でみると、建設業、製造業、情報通信業、運輸業、サービス業が5人以下と6~20人で赤字。卸売業と小売業は5人以下が赤字です(グラフ参照)。

グラフ

 これをどう見るか難しい所ですが、今回の不況では社員の力をいかに活用するかが大きかったことがうかがわれます。社員数が多く、組織的な取り組みができる企業の方が、コスト削減を全社員の力で実践し、損益分岐点を7割以下に引き下げ、なおかつ社員の営業力で新しい仕事をつくりだす力が大きいのではないかと思われます。

 ただ現場の実感と比べ、この調査結果は良すぎます。個人企業では全業種で経常利益が黒字など、悪い企業は回答していないこともみておく必要があります。

 詳細は、下記、中小企業庁ホームページまで。

http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/kihon/index.htm

「中小企業家しんぶん」 2010年 5月 25日号より