明るく元気一杯の“大家族”をめざして
有吉佐和子の小説“紀の川”の舞台、かつらぎ町から岩出市まで国道24号線沿いに美容室7店舗を持つ(有)仁インターナショナルは、企業内職業訓練校の認可を受け、3月29日、2期生となる17名の新入社員を迎え入社式を行いました。
同社の理念は「明るく元気一杯が自慢の大家族です」。入社式と併設して行われた全社員式では、社員の1年間の頑張りが細やかな視点で表彰され、先輩社員の晴れやかな姿は、新入社員にとってめざすべき目標を明確にしたことでしょう。
社員の人生に責任の持てる経営者に
阪本社長は理髪店の長男として生まれましたが、理髪業を嫌い食品メーカーに就職。22歳の時に脱サラをして理容専門学校に入学します。しかし、その年に父親が急逝し、母と共に技術を学びつつ店に立つことになりました。29歳の時、理髪店の隣に美容店をオープン。売上は上がったもののスタッフは育てられず定着しません。
32歳の時、現本部長である女性が入社し、2店舗目を任せることに。「この人が60歳になるまで人生に責任をもつ会社をつくりたい」と強く思い、美容業界の勉強グループに入会しました。「目標となる経営者との出会いもあり、懸命に学びましたが、当初は売上を上げたいとノウハウばかりを得ようとしたために、本来めざすべき『理念経営』が見えていませんでした。」
経営理念と社内の仕組みづくり
35歳の時、ハサミをおいて経営者としての道を歩み始めます。週3日ほど少人数での会議を始め、経営理念を成文化。「その頃からようやく、結果が伴うようになり、社内の仕組みが軌道に乗り始めました。新幹線経営をめざして、4班制(動員班・フロント班・教育班・材料班)が稼動し、それぞれの班長が店長代理として経営意識を持って全員参加の店づくりができてきました。」
美容業は教育産業
都会では美容業には専門学校生の求職者が多いようですが、和歌山県では古い体質の職場であるというイメージが強いのか、求人が非常に難しい状況にあります。
「自社独自の職業訓練を経て、昨年、和歌山県の認可を受けた企業内職業訓練校をスタートしました。1週間に2日、訓練校で基本的なことを学びます。1期生8名のうち、5名が元気に各店舗で頑張っています。当社では、2年でスタイリストを合言葉に、全社員が応援し育てます。技術はスタッフが教え、お客様からも育てていただきます。だから私は、新入社員の人たちに、生きるために必要なことを語り続けます。
7店舗の店長たちとは、経営者同士の会話をします。“総てはお客様のために”を貫く人材の育成こそが自社の使命であり、美容業は教育産業であると思っています。」
美容業界は体力的にも非常に厳しい職場であり、一人前になるまでに離職する率の高い職場です。入社式でも厳しさに耐えて一人前になって欲しいと願う先輩社員の言葉が印象的でした。
豊かな人生を育む人生の塾“仁塾”でありたい
「(有)仁インターナショナルは、50名の社員規模を目標としてきました。その目標は達成できました。今後は、幹部社員たちの独立を支援していきたいと考えています。地元の若者を育てながら、経営者として育て独立させていく基盤となる“仁塾”をめざしています。」
志を同じくする仲間と市内で美容の技術コンテストを実施されると聞きました。技術だけではなく人としての大切なことを学ぶ“仁塾”の社員は、大家族の仲間から慕われ、お客様に愛される店づくりで勝ち抜いていくことでしょう。
会社概要
美容店創業 1986年
資本金 300万円
設立 2001年
社員数 55名(パート4名含む)男性20名、女性35名
業種 理・美容室の経営
所在地 和歌山市大垣内683-3
http://www2.ocn.ne.jp/~jin/
「中小企業家しんぶん」 2010年 6月 25日号より