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中小企業経営の「あるべき姿」を考える

危機を全社一丸で乗り越えた教訓は何か

 最近、中小企業家同友会以外の機関・組織から、同友会で議論しているような中小企業像が提起されていることが注目されます。それを踏まえ、小欄では、危機を乗り越えてきた会員企業の経験を整理してみます。

 1つは、関東経済産業局の「中小企業経営のあるべき姿に関する調査」報告書(座長・坂本光司法政大学教授、2010年3月)。ここでは「活力ある中小企業」の7つのポイントを提起。(1)経営理念を明確化して実践する、(2)経営理念を社内に浸透する、(3)自立・創造できる人づくりに取り組む、(4)長期的な視点で人づくりに取り組む、(5)従業員への動機づけに取り組む、(6)信頼感と一体感を高める組織づくりに取り組む、(7)経営者力向上に取り組む、としており、同友会で日常的に学び合い、確認してきた内容になっています。

 2つ目は、経済同友会の「21世紀 中小企業ニューディール政策」(2010年5月)。「経営者の理念・志が組織に行き渡り、小さくとも、強く、楽しい、自分の顔を持った中小企業=『中小輝業』」へ中小企業の位置付けそのものを大転換し、わが国「経済生態系」を支える「活力あるマジョリティー」としての「中小輝業」を数多く創出すべきであるとしています。この提言の作成にあたっては、中同協・企業環境研究センター座長の吉田敬一駒澤大学教授らが講演しており、それが同報告の内容にかなり反映されています。

 本紙ではシリーズ「全社一丸で時代を切り拓く」で、今般の大不況を乗り越えてきた会員企業の実践を連載しています。この連載の実践例から、次のような強靭な中小企業像を浮かび上がらせることができます。

 第1に、経営の責任はすべて経営者にあって、どんな困難があっても経営者には会社を維持・発展させる責任があるという同友会の「労使見解」の姿勢を貫き、危機の中でもぶれずに、「21世紀型中小企業づくり」に邁進していることです。

 第2に、経営者が「社員と一緒でないとこの危機は乗り切れない」という信念を持ち、「絶対に雇用は守る」というメッセージが社員の信頼感と安心感を高め、困難な中でも意欲と創造性を引き出すことに成功していることです。

 第3に、果敢に営業、新規開拓に取り組む態勢を敷き、トップが率先して事態を打開する姿勢を示していることです。

 第4に、創業の精神に立ち返る作業や経営理念の重要性から勉強のやり直しを全社的に行い、激変の中で、変わるべき部分と守っていくべき部分が整理され、共有化されています。特に、守っていく部分が、自社のDNA(創業の志)として再認識されています。

 第5に、全社員はもとより、協力企業も含め情報の共有を重視し、現状認識の一致をはかり、将来の見通しを示す努力をしていること。「どんな仕事している、どっち向いている、どこまで行っている」を明確にする「見える化」をすすめていることも注目されます。

 以上のように、私たちは、今般の危機の中で、それを乗り越える理念と実践的知恵を蓄積する過程にあります。その成果をもとに、これからの中小企業経営の「あるべき姿」を考えていきたいと思います。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2010年 8月 15日号より

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