生産性の向上=エネルギー使用量の削減~関西テープレコーダ(株) 専務取締役 横井 恒(香川)

【環境経営で企業革新を―「同友会エコ」受賞企業の取り組み】(8) 小さなことでもやり続ければ大きな変化

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 昨年の全国総会でキックオフした中同協「同友エコ」。今回は、ISO9001と14001を取得しているプリント基板を製造する関西テープレコーダ(株)(香川)の横井専務取締役に投稿頂きました。

家電メーカーの協力工場として

 私たちの会社は香川県丸亀市で、電子機器商品の開発~製造をしており、身の回りの電化製品、産業用ロボットの心臓部分であります、「プリント基板」というものをつくっています。いわゆる家電メーカーさんの部品組み立て加工部分を担っている協力工場です。昨今、家電メーカーさんではしきりに環境に優しい企業をうたっており、自然と弊社もその流れに追従すべく環境に取り組むようになりました。

ISO14001を取得

 まず、企業活動における環境の国際規格、ISO14001を取得しようと決めました。社内で独自に勉強に1年間取り組み、念願かなって2006年に認証取得し、4年が経過したところです。その取り組みがそのまま「同友エコ」に活かされています。今回どのように弊社が取り組んできたかを紹介します。

 まず、年間を通じて(1)環境方針を決める、次に、(2)廃棄物とエネルギー資源使用量の削減量を決める(全社目標設定)、(3)環境にかかわる法律を調べ、順守する、(4)従業員に環境の教育を行う、そして最後に、(5)部署別の目標設定・削減計画をたて、実行していく、というのが大きな流れです。

 (4)の従業員教育は「環境のてびき」にて実施しています。まず(1)環境方針、地球の環境問題等の説明をしてから、なぜ取り組まなければならないかを理解させ、(5)目標と計画作成につなげていっています。環境委員会を月1回開き、計画と目標達成の進捗管理、PDCAを実行しています。ちなみに当社の(1)環境方針は「環境と地域のために、原材料とエネルギー使用量の売上規模による相対的削減を実施する」です。

電気代削減が一番効果的

 (2)廃棄物とエネルギー資源使用量の削減が活動のコアであり、計画は結構大変ですが、やり始めると非常に興味がわいてきます。いちばん効果的なのは電気代削減と判明しました。

 事務所は地球のためだと、少々熱くてもうちわでがまん。しかし、工場はそういうわけにはいきませんので、まず管理の面で、温度基準値を設定し徹底させ、設備面では古いエアコンを思い切って買い換えました。エアコンの買い替えについては、費用対効果を緻密に計算しました。COPという変換効率等により計算しますが、10年トータルで削減電気代が設備投資額より大きくなるかをみました。

 現在、電気代削減に大きく寄与するデマンド値をコントロールするデマンドコントローラーの導入を検討中です。

徹底した分別で廃棄物削減

 次に、「廃棄物の削減」=「ごみの量の削減」について。ごみとは再使用、再利用できないものと定義していますが、これは徹底的に分別してすてることで、再利用できるものがほとんどです。

 「混ぜればゴミ、分ければ再資源!」。紙、ダンボール、プラスチック、金属片はごみではありません。再利用されます。絶対ゴミ箱に捨ててはいけません。徹底されれば、従業員のほうから、「専務!そこ紙捨てるところではないですよ! ちゃんとしてください!」と言われるようになります。

ロスなくし環境改善へ

 どの会社もそうだと思うのですが、長くやっていると改善ネタがなくなり、マンネリ化してきます。マンネリ打破のために、「ものづくり工場として作業ロス、材料ロスをなくすことで環境改善につなげる」ことに目を向けました。

 同じ設備、同じ作業環境で、一時間で100個作っていたのを200個作れるようになれば、時間は半分ですみますから、電気代も半分でまかなえます。つまり、エネルギーは50%削減できたことになるのです。生産性の向上=エネルギー使用量の削減なのです。これを『原単位管理』といいます。具体的には 「エネルギー使用量/加工高」が原単位指標となり、この指標を小さくすることが環境改善となります。弊社ではこの指標を採用しています。

 「不良品=材料ロス、手直しにかかる費用ロス」となりますので、不良品率も重要な環境指標となります。

 これらの指標は常日頃、環境改善としてあまり意識されていない部分でしたので、現在精力的に取り組んでいます。

 現在の課題はこの指標をグラフ化し、見える化し、経営のパートナーである全従業員に目標を周知し、一丸となって取り組み、従業員全員の総合力で目標達成することです。

小さなことでもやり続ければ大きな環境変化

 常日頃言っているのは、「ごみ1個拾ったとき、エアコンの設定温度を1度C変えたとき、裏紙を使い始めたとき、人のいないところの電気を消したとき、もう地球環境の浄化に貢献しはじめたのだよ」ということです。1つでもやることが変わり、やりつづけることで大きな環境変化につながります。私たちは「同友エコ」に貢献できるよう、今後とも環境改善を進めていきます。

 最後に「第6回中小企業地球環境問題交流会」が2011年11月25~26日、香川で開かれます。環境問題を考え、「同友エコ」推進に結びつく交流会にすべく、現在準備中です。香川同友会、そして四国の同友会と連携し、「持続可能な社会、持続可能な地域づくり」を発信いたします。ご協力ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

環境理念

 関西テープレコーダ株式会社は、地域及び地球規模での環境保全の重要性を深く認識、各種の受け入れ、製造、出荷の各段階における環境との関わりを評価し、環境調和型社会の実現に寄与します。

品質方針

「お客様に喜ばれる商品の、工程内の作りこみを考え実施する。」
これが我が社の品質方針です。
常にお客様のあらゆる要望にお応えし、お客様に喜ばれることが、私たちの喜びであり、私たちのモットーであります。当社は品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO 9001」及び環境マネジメントシステム「ISO 14001」を認証取得しております。

会社概要

設立 1962年
資本金 4800万円
社員数 150名
業種 電気機器部分品加工業、電気機器設計製作
所在地 香川県丸亀市川西町北
TEL 0877-22-8241
http://www.kante.ne.jp/

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 15日号より