顧客と共に指針づくり・自己診断にチャレンジ~(株)モリタ 代表取締役 森田昌孝氏(富山)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】13

 企業変革支援プログラム・ステップ1の活用事例を紹介する本シリーズ。今回は顧客と共に経営指針づくりなど強靭な企業づくりに取り組んでいる(株)モリタ(森田昌孝代表取締役・富山同友会会員)の取り組みを紹介します。

 (株)モリタは理美容室、エステ、ネイルサロンなどへの技術支援、経営アドバイス、設備機器・資材の提供を行っています。1940年に森田氏の祖父が創業しました。

 今から12年前、森田氏が40歳の時、当時の社長だった父親から、いきなり「社長になれ」と言われます。それまでは平社員だった森田氏は、先輩経営者に「どうしたら経営者になれるのか」と聞いてみたところ、「経営理念をつくったら」と言われます。そこで同友会に入会して、「経営指針を創(つく)る会」を受講し、経営指針をつくりました。

 そして、「創る会」などで学ぶ中で、「本当に経営指針を実践していくには、社員と話し合うことだ」と考え、1人ずつ時間をとって、繰り返し話し合いを行います。「本当にわかり合えるまで、言いたいことをとにかく言い合うという形で行いました」と森田氏。それを通して、人との関わりが苦手だった森田氏が少しずつ変わっていきました。そして社員も少しずつ変わっていきました。

 ある時、1人の社員が「経営指針づくりを続けていると、経営指針が自分たちのものになってきているような気がします。お客様にも経営指針づくりを勧めてはどうでしょうか」と提案してきました。それをきっかけに「お客様と経営指針をつくる会」ができ、社員が顧客と関わりながら経営指針づくりの支援を行うようになります。

 中同協の「企業変革支援プログラム・ステップ1」が発行されると、森田氏も幹部社員と一緒に取り組みます。その結果、「現状把握したうえだからこその確かな課題の共有ができ、なぜこうなったのか原因などに気づくことができました」と森田氏。

 すると幹部社員から、「これはいいツールなのでお客様にも提案しよう」との意見が出てきました。そこで美容室向けの「サロン変革支援プログラム」をつくり、一緒に経営指針づくりに取り組んだ顧客に、「次はこれで自己診断してみませんか」と提案。その結果にもとづいて話し合いを行い、会社の改善に結びつけることで、顧客との関係がさらに深まっています。

「中小企業家しんぶん」 2011年 3月 15日号より