【若者が輝く企業づくり】家族のように円卓囲んで~(株)オンザウェイ 社長 野中元樹氏 (東京)

毎日の朝礼を21年間

 明るく陽の差し込む部屋におかれた円卓を30名の社員が囲みます。若い社員たちが次々と手を挙げて、お客様とのやりとりや対応の改善点を報告します。些細な成果にも「おめでとう」と声がかけられ、円卓を囲んで笑顔があふれます。さながら“大きな家族”です。

 東京都の南端にある町田市で無線機の販売・リース・レンタルやサービス&サポートと通信販売アスクルをいとなむ(株)オンザウェイ(野中元樹社長、東京同友会会員)の朝礼の1コマです。

 警備会社やホテル、マラソン大会やコンサートなど4000事業所の顧客は全国各地に広がっています。その多くが既存客からの紹介です。お客様とのやりとりでは若い社員が先頭に立って、ベテラン社員が後方支援します。同友会の共同求人活動での採用を続けてきました。新卒社員の定着と成長、イキイキとしたチームワークが同社の好調を支えています。

15年つづく社員への手紙

 順風満帆ではありませんでした。1997年頃、やみくもな事業拡大の多角化に失敗して業績が悪化、社員の一体感もなくなってしまいました。「これではいけない」と創業の原点である無線機に事業を集中し、社員に渡す給料袋に手紙を同封するようになりました。どういう会社にしていきたいか、今、何を考えているのか、直筆で綴(つづ)る毎月の手紙は15年間続いています。

 社員の一体感が輝く会社にしたいと、徹底した情報共有にも取り組みました。現在では、「繁栄計画書」にもとづく毎月の成果発表会、毎週の「PDCAミーティング」、毎日の朝礼、それぞれが社員の手によって運営されています。共通の目標が共有され、自主運営が軌道に乗るにつれて、「自分たちみんなの会社だ」という意識が芽生え、社員の表情は明るく変わってきました。現在、若手社員たちに聞くと、「仲が良い会社」、「何でも言いあえる」、「忙しい中にも一体感がある」と自社を語ります。

年齢、国籍、経歴の違いを超えて

 また、同社の特徴の1つに多様な社員の存在があります。年齢は22歳から70歳代まで。その経歴もさまざま。中国やブラジル出身の社員も営業の第一線で活躍しています。年齢、国籍、経歴の違いを超えて力を合わせます。「社会が多様であるように、会社にも多様性を実現したい」と野中氏。今後は障がい者雇用にも取り組みたいと考えています。

 同友会での学びを生かして、経営理念は「共に育つ」です。「上下関係ではなく、共に育とう」という思いが、会社の中心に置かれた円卓に表れています。“夢の途中(オンザウェイ)”の30名の笑顔が今日も円卓を囲みます。

会社概要

設立 1991年
資本金 4,000万円
社員数 30名
事業内容 (1)業務用の無線機のリースならびにレンタル、販売 (2)オフィス用品の通信販売アスクル
所在地 東京都町田市中町
URL http://www.ontheway.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2012年 6月 25日号より