良い労使関係づくりは国を越えて共通の課題【滋賀】

【特集】中小企業と国際化 海外ビジネス研究会 中国・ベトナム訪問

 滋賀同友会の海外ビジネス研究会では、アジアの市場・技術レベルを見て、わが社の戦略にいかすことを目的に、9月16日(日)から22日(土)まで、10名で中国の広東省東莞市と恵州市、ベトナムのハノイを訪問しました。

 減速が伝えられる中国経済ですが、深圳(シンセン)から東莞(ドングァン)へ向かう道路には高級車が目立ち、車窓からは高層マンションの建設が目に飛び込みます。一方でマンションの空き部屋も目立ち、バブル崩壊前夜の予感も。

 東莞では省力化機器製造・部品加工を行うC社と、電子機器の液晶部品、工業用フィルムの加工を行うO社を訪問。日本の中小企業のミドルクラスが得意とする仕事はすべて中国で行われていて、日系大手メーカーはすべて現地調達。日本で取り引きする必然性のないことを実感しました。

 恵州でヘッドホンを製造しているT社では、熟練社員さんの見事な組み立て作業に、中国生産の強みを知りました。

 ベトナムは平均年齢30歳の若い国。JETROで「経済成長は曲がり角」だと伺いましたが、バイクを3人乗りで走りまわり、商店街は人と物で溢(あふ)れ、至る所で人が語らうこの国のエネルギーに圧倒されます。ハノイ工業大学日本語教育センターで日本希望の留学生や実習生と話す機会もあり、アジアの中で日本が成熟した良い国として、私たちが良い企業として生きる責任を感じました。

 タンロンⅡ工業団地の日系T社では、採用時に「最高の給料ではないが、その分楽しく働ける職場にしよう」という会社の考えを伝え、社員さんのあいさつは笑顔で「お元気さまです」とガッツポーズ。良い労使関係づくりは、国を越えて共通の課題。

 レンタル工場で頑張る日系中小企業の社長からは、直接投資の難しさ(特に商習慣と人材)と共に、発展する地域でチャレンジする可能性とやりがいが語られました。

 「百聞は一見にしかず」と言われますが、アジアとの関係で私たちも本気で一歩前に出ることが必要だと学んだ視察研修会でした。

滋賀同友会専務理事 廣瀬元行

「中小企業家しんぶん」 2012年 11月 15日号より