最高会勢更新の同友会の特徴と教訓に学ぶ~中同協専務幹事 松井清充氏に聞く

 全国の会員数が4万2565名(12月1日現在)と最高会勢を更新しています。各同友会でも北海道、秋田、山形、茨城、神奈川、長野、新潟、富山、愛知、兵庫、和歌山、鳥取、島根、徳島、愛媛、熊本、宮崎が最高会勢となっています。今年の会員増強について松井清充中同協専務幹事に特徴を聞きました。

今年の会員増強の特徴は?

 最高会勢となっている同友会の特徴を調べてみますと、学ぶべき点が多くあると思います。

 北海道同友会は中小企業振興基本条例運動の展開が特徴的です。人口が減少している地域ほど会員が増えている傾向があり、地域衰退に危機感をもち、地域を良くしたいと思う方をどんどん巻き込んで条例運動をすすめています。

愛知同友会では、理事会で、理事が持ち回りで毎月自社の経営指針を報告し学んでいます。役員研修大学や中同協役員研修会への派遣も仕組み化し、役員による自主運営を行っています。愛知の基礎組織である地区会の活動では、会員企業の会議室などを会場に使い、お互いが企業訪問することも仕組みになっています。

 徳島同友会では支部役員が全員、経営指針をつくる取り組みをしています。経営指針をベースにしていますと、支部活動の中に情勢認識や地域分析が加わり、条例づくりまで意識するようになったと聞いています。支部役員が必ず経営指針をつくる取り組みは、全国で展開してほしいと思います。

 今年青年経営者全国交流会を設営した島根同友会は200名となりました。設立して10年ですが、会員の自主運営が徹底されていると思います。例会などの活動も参加5割以上、青全交には会員数200名のうち164名が参加し、8割以上の会員が参加しました。同友会を自らのものとする取り組みがされているものと思います。

支部の強化新支部づくり

 愛媛同友会では、支部で支部指針を策定しています。支部理念をつくり、長期の方針、単年度計画などを役員会で討議し、それをもとに活動を展開しています。企業づくりの教訓から学んだ仕組みを、支部組織に適用し経営指針づくり同様に支部でも行っていると言えます。

 富山同友会は企業変革支援プログラムを応用し、支部でのチェック表に取り組みました。チェックすることにより、理事会と各支部の強みと弱みが明らかになり、今後の活動に生かしていくことができているようです。

 新潟同友会では、現在佐渡支部の設立を準備していますが、この1年で会員ゼロの地域から15名になりました。佐渡市が支部の設立に全面的に協力しています。地域の疲弊に行政が危機感を感じており、同友会への期待が高まっていると言えます。

 新支部づくりによる会勢更新の事例が多く出ています。和歌山同友会では人の少ない最南端の新宮に支部をつくり、橋本での新支部づくりに現在取り組んでいます。秋田同友会では男鹿南秋地区会を設立、30歳代の経営者が多く青年部会「あすか会」の取り組みも期待されています。鳥取同友会では鳥取と米子の間に位置する倉吉で支部準備会を行い、支部づくりを進めています。茨城同友会の県央海浜支部は震災の影響にも負けず、設立例会を行いました。

対外的な活動が活発に

 熊本同友会は今年30周年を迎えましたが、ここ数年過去最高会勢を更新し続けています。熊本同友会は対外広報戦略、機関紙づくりが特徴的で、熊本県内の行政や経済、大学などの主な有力者からのメッセージや取材などを通して、同友会の理解を深めていただき、会外のファンをふやしています。

 長野同友会では、事務局を信州大学構内の産官学連携の施設に戦略的に移転しました。大学との産官学連携からの新産業を創る会などさまざまな面で新しい仕事づくりが評価され、増強にもつながっていると思います。

 その点では山形同友会も同様の成果があると思います。山形同友会では、きらやか銀行や4つの信用金庫、山形大学との協定を結び、地域の次の起業家づくりに取り組んでいます。若者の育成や起業づくりへの取り組みが地域で評価されています。

 全国にさまざまな会員増強の事例がありますので、お互いに学び合いながら会員増強を楽しく進めていただきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2012年 12月 15日号より