知財のメリット・デメリット

【経営者のための知的財産入門】(2)

 今回は、中小企業からよく聞く知的財産(以下、知財)を軽視して痛い目にあった話と知財に取り組むメリット・デメリットを紹介します。

知財を軽視して痛い目にあった話

Q.突然、他社から商標権侵害の警告状が届きました。どう対応したらいいですか?

A.まずは、慌てないことです。当たり前のことですが、警告状が届いた驚きで、警告の内容(警告してきた商標権の有無や権利者など)も確かめずに、警告者にいきなりコンタクトを取る方もいます。

 内容をよく確認したら侵害していない場合や侵害していたが和解により損害を被らずに済んだ場合、不用意な対応でその後の事業活動に影響が出てしまった場合があります。

 警告内容の確認は、特許庁のデータベース(IPDL)で簡単に調査できます。自社の商標が侵害になるか否かは弁理士や弁護士などの専門家や最寄りの相談窓口「知財総合支援窓口」に相談してください。「取引先に納品する商品の製造ができなくなった」「損害賠償として多額の費用を支払った」などのトラブルに遭わないように他社の知財も意識することが大切です。

知財に取り組むメリット・デメリット

Q.中小企業が知財を経営で意識するメリットとはなんですか?

A.自社にどのような資産(知財)があるのか、具体的には、他社に対する優位性などを改めて把握できることが第1のメリットです。

 また、知財を把握して、特許権などの取得やノウハウなどで管理することで、他社の模倣行為を牽制できたり、特許権を取得したことでメディアに取りあげられて、それが販促につながるなどの副次的な効果もあります。

Q.知財に取り組むデメリットはなんですか?

A.知財の把握や権利化・維持には労力とコストがかかります。知財を権利化しただけで直ぐに儲かるということは少ないため、知財にコストばかりかかり、効果が見えにくいという側面もあります。

 このように、中小企業にとって知財に取り組むことは負担が大きいですが、支援策を利用することでその負担を軽減することができます。支援策については、次号で紹介します。

特許庁普及支援課産業財産権専門官 佐藤 ちづる

「中小企業家しんぶん」 2013年 7月 15日号より