第3回「エネルギーを使わない住宅」―暖房なしで17度以下にならない省エネ住宅で命を守る

 「東北が世界で一番寒い住宅に住んでいます」と話すフライブルグ在住のジャーナリスト村上敦氏。この言葉に衝撃を受けました。

 日本では、ヒートショックにより、1万人以上が亡くなり、多くの方に障害が残る原因となっています。高齢者の死因の4分の1を占めるとのこと。

 エネルギーシフトの3本柱の1つ「省エネ住宅・省エネリフォーム」は、単なるエネルギーを使わないだけでなく、生活する人の命を大切にしています。

 ドイツでは、省エネ住宅・リフォームを推進していますが、具体的にはエネルギーの問題とともに、命に関わる生存権の問題として取り組んでいます。

 フライブルグは夏は40度を超え、冬はマイナス19度にもなります。その冬でも暖房をできるだけ使用せず、室温を17度以下にしてはならないという法律があり、違反すると人権侵害として家主や事業主が訴えられるとのことです。

 省エネ住宅にはまずは断熱です。断熱材は30センチメートル以上にもなります。その厚さに驚きます。そして窓は三重サッシが基本。人の住むところは三重サッシしかつかってはならないとのこと。住宅は窓から4割ぐらいが熱交換され、エネルギーの無駄が多いため、特に重視していました。これを担っているのが地域の中小企業やマイスター。省エネ住宅は中小企業政策としても行われています。

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「中小企業家しんぶん」 2014年 1月 5日号より