第5回「再生可能エネルギー」 地域で経済が循環していく取り組み

 「エネルギーシフト」の第1の柱の「省エネ」、第2の柱の「地域暖房&コージェネレーション」を紹介しましたが、第3の柱が「再生可能エネルギー」。

再生可能エネルギーと枯渇性エネルギー

 再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、波力・潮力、地熱、バイオマスなど、自然の力のエネルギー資源をいいます。発電、給湯、冷暖房、輸送、燃料などエネルギーの活用方法は全般にわたって用いることができます。

 再生可能エネルギーの対義語は、「枯渇性エネルギー」と言い、石炭、石油、天然ガス、シェールガス、メタンハイドレートなどの化石燃料や地下資源を利用する原子力発電を指しています。

 再生可能エネルギーというと、固定価格買取制度(FIT)が日本でも始まりましたので、太陽光発電やメガソーラーを思い浮かべる方が多いかと思われます。日本の再生可能エネルギーの状況は1・6%。水力が9%でようやく1割を超えたところです。割合は少し増加はしていますが、まだまだ取り組まなければなりません。

ドイツの再生可能エネルギー戦略

 さて、ドイツにおける再生可能エネルギーの戦略と状況。ドイツはEU圏で電力融通していますので、海に囲まれている日本と1概には比較できませんが、今後日本でエネルギーシフトを取り組む時には、参考にすべきことと思います。

 ドイツの再生可能エネルギーは2012年で22%。ドイツ政府のエネルギーコンセプト2010では、20年まで35%、30年には50%、50年には80%まで再生可能エネルギーの割合を高める戦略を立てています。そうしますと、再生可能エネルギーによる発電は不安定で、ドイツはフランスなどの国から融通されているとのイメージがあるのではないでしょうか。

 今回、ドイツ視察で聞いてみると、ドイツは逆に電力の輸入より、輸出が超過しているとのことでした。

逆にフランスは暖房や給湯を電力に頼っているため、2011年から12年の大寒波の時には、フランスで電力が足りずドイツから電力を輸出していたとのこと。そして、その後もドイツからの電力の輸出量が増えているそうです。

再エネでお金が地域に循環する

 ドイツはこの10年間エネルギーシフトの政策や取り組みを行い、省エネを進め、地域暖房や再生可能エネルギーの比率を高め、電力をできるだけ使用しない仕組みをつくってきました。その効果は絶大と感じます。また、ドイツの固定価格買取制度で出資をしているのは約4割が個人、2割強が農家、2割弱が地域の産業とエネルギーを地域でつくっているため、そのお金も地域に循環していきます。

 日本でもそれぞれの地域でエネルギーシフトに取り組み、自前の再生可能エネルギーで地域での自給率を高めていくこと。それを近場の地域間の連携でお互いに融通しあい、国・電力会社のエネルギー政策を組み合わせて行えば、エネルギーシフトの事例をたくさんつくることが可能ではないかと感じました。

 日本はエネルギー自給率4%。地域・企業・個人などエネルギーシフトに取り組むことは、海外に出て行くお金を地域に循環させ、新しい仕事と雇用につながっていくと感じます。

(I)

「中小企業家しんぶん」 2014年 2月 5日号より