励ましと勇気、未来展望を掲げた7周年 気仙支部が記念講演会【岩手】

 岩手同友会の気仙支部7周年記念講演会が、8月28日、大船渡プラザホテルで開催され47名が参加しました。

東日本大震災から3年半

岩手同友会

 はじめにあいさつに立った田村滿気仙支部長((株)高田自動車学校代表取締役)は、「震災から3年半が経過したが、この地に気仙支部があったから、ここまでの復興ができた。ただ現実には、街の再生は漸く本格化する緒についたところ。持続可能な地域づくりに向けて、今日の記念講演から学び、共に考え、展望を掲げる原点にしたい」と話し、講演会がスタートしました。

 「気仙の皆様にお伝えしたいこと」をテーマに報告に立った中同協顧問赤石義博氏は、事前に気仙地域の復興計画などを分析し、前日朝から気仙沼、陸前高田、大船渡の各市を訪問。地域の現状や企業の復興状況を直接目にし、経営者の生の声を聴いた上で、報告に臨みました。

 はじめに、自身の26歳から今日までの経営者人生をもとに、「1つ目に哲学者であってほしい。2つ目に優れた経営者であってほしい。そして3つ目に人類の未来、岩手の未来を考える優れた経世家であってほしい」との、3つの問題提起からはじまりました。そして復興計画の中でも、「くらしづくり」については、ほとんど触れられていない点を指摘、暮らしの見通しが見えることの大切さを力説しました。そして気仙地域がこうした人口減少と過酷な被災の経験から、初めて自前で新たな仕事づくりをしていく、初めて世界に発信するモデルに取り組む、その重要性を提起しました。

 参加者からは、「これまで何度も聞いてきたはずの『人間らしいくらし』という言葉が、なぜか耳から離れない。原点に戻って考える、きっかけをいただいた気がする」「行動を起こす前に科学的分析が必要、ただ頑張るだけでは続かない。気持ちに余裕を持ち、先を見据えた行動をする。その根底に社員と一緒に肩を並べて歩んでいくこと、今の自分の心にぐっと入ってきた」「『自分だけが頑張っていないか』の問いにはっとした。社員を信頼する、ということをもう1度原点から考えたい」。

 また参加した社員からも「長期的な目標を立て、この先何をしていけばいいのか、じっくりと考え実践していくことが大事だと感じた」「人と人とのつながりをどう作り上げていくかが、最終的な会社づくりの土台になると感じた。人と人の関係は人間がつくり出すものだが、ものすごい力を生み出すものだと感じた」などの声が聞かれ、気仙地域に大きな励ましと勇気、そして未来展望を掲げた7周年記念となりました。

「中小企業家しんぶん」 2014年 9月 25日号より