中小企業憲章の理念に反する課税強化 外形標準課税反対署名10万筆を突破した愛知の教訓

 外形標準課税の中小企業への適用拡大については、来年度は見送られたものの今後も注視することが必要です。勉強会や署名運動といった取り組みを続けることの意義について、和田勝・愛知同友会政策委員長(中同協政策副委員長)より愛知の教訓を紹介します。

愛知同友会

愛知同友会政策委員長・中同協政策副委員長 和田 勝
((有)シー・アンド・シー保険サービス代表取締役)

 愛知同友会の「中小企業への課税強化反対署名」が10万筆を超えました。

 私たちは6月の憲章4周年で“「中小企業憲章」の理念に反する中小企業の課税強化に反対します”と表明しました。さらに運動を署名活動にまで拡げるのか否かの議論で「まずは会員自身の勉強が必要」と提案をしてくれたのは金融アセス署名の経験メンバーでした。

 緊急学習会を皮切りに支部や地区での学習会を開始。学習会のアンケート回答や支部長連名で署名活動をすべきとの提案が出され、署名への声は高まります。9月の理事会で10万筆署名を行う事を決議、署名活動が開始されました。

 私は今回の署名活動で得た財産が3つあると思っています。

 1つ目は、組織の強さを再確認できた事です。運動の中心メンバーは理事をはじめ、支部の環境改善担当副支部長、地区の環境委員でした。彼らの結束がなければ、短期間での目標達成はかないませんでした。

 2つ目は、会員自身が貴重な経験をした事です。活動に参加した会員は4割を超えました。署名は自社の社員はもちろん、取引先、金融機関、知り合い、他団体への依頼です。趣旨を理解し説明しなければ署名を集める事はできません。金融アセスの署名活動から13年。その後に入会した会員も含め外部発信と運動の経験を得ました。

 3つ目は、10万を超える支援と期待を得たことです。今回の署名は増税だから反対という運動ではありません。憲章に掲げた中小企業の役割や貢献を踏まえた公正な税制を提起する運動です。10万筆の署名は、期待に応えられる中小企業経営に向けた努力への後押しだと思います。

 愛知同友会では、10万筆突破のプレスリリースを12月19日に行い、12月22日には中同協役員と共に中小企業庁へ署名目録を提出、更なる支援を要請しました。

「中小企業家しんぶん」 2015年 1月 25日号より