第1回 民間企業にも義務付けられるマイナンバー

公立大学法人 首都大学東京 産業技術大学院大学 教授 瀬戸 洋一

 2015年10月から、国民一人ひとりに12桁の個人番号「マイナンバー」が通知されます。中小企業にどのような影響があるのか、今回から4回の連載で、マイナンバー制度の行政機関や企業における対応について紹介します。

 マイナンバー(社会保障・税番号制度)とは、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための社会基盤です。マイナンバーに関係する法律は、2013年5月24日に成立しました。これにより2015年10月から国民に付番・通知されます。「社会保障・税制度の効率性・透明性の確保」と「国民にとって利便性の高い公平・公正な社会の実現」に向けて、国民全員に1意の個人番号を割り当てる制度です。

 社会保障・税番号制度では複数の機関に存在している個人の情報が同一人の情報であると確認できるように、次のような仕組みから構築されます。

(1)付番

 新たに住民票を有する一人ひとりに(悉皆(しっかい)性)、個人を識別できる(唯一無二性)、「民―民―官」の関係で利用可能な、見える「番号」(視認性)を最新の基本4情報(氏名・住所・性別・生年月日)と関連づけて付番する。

(2)情報連携

 複数の機関間において、それぞれの機関ごとに個人番号やそれ以外の番号を付け、管理している同一人の情報を紐付けし、相互に活用する。

(3)本人確認

 個人が個人番号を利用する際、利用者がその個人番号の持ち主であることを証明するための本人確認。

 国は、マイナンバーを導入することにより、将来、次のようなことが実現できるとしています(下図)。

・よりきめ細やかな社会保障給付の実現
・所得把握の制度の向上等の実現
・災害時における活用
・自己の情報や必要なお知らせなどの情報を自宅のパソコンから入手可能
・事務・手続の簡素化、負担軽減
・ 医療や介護などのサービスの質の向上

 また、マイナンバーは、行政機関だけでなく、民間企業にも大きな影響を与えます。民間企業への影響は第3回以降に紹介します。

内閣官房 マイナンバー概要資料より転載
参考URL:http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

図.番号制度導入によるメリット

「中小企業家しんぶん」 2015年 3月 5日号より