【採用と教育】第1回 経営実践の根幹としての共同求人活動 (株)エム・ソフト代表取締役会長 小暮 恭一氏(東京)

(株)エム・ソフト 小暮 恭一氏

 企業経営を行う上で、避けては通れない「採用と教育」をテーマに企業での取り組みを紹介します。第1回目は(株)エム・ソフトの小暮恭一代表取締役会長(東京同友会会員・中同協共同求人委員長)に自社と同友会での取り組みを聞きました。

 同友会の共同求人活動は1972年に北海道から始まり、その後全国に広がりました。現在は34同友会が活動に取り組んでいます。ただ単に人を採るための活動ではなく、地域の人を育て、地域に人を残す運動です。

 昨今は学生の企業ガイダンス離れや少子化、経営環境の悪化など中小企業が人材を採用するのに困難な時代が続いています。

 1999年に当社を含む同友会メンバー6社で事業協同組合を設立。始めは受注組合として活動していましたが、何か他にできることはないかと、2003年に組合員4社による共同での採用活動をスタートしました。

 そこからヒントを得て東京同友会では2013年に新しい採用スタイルの活動がスタートしました。IT系企業8社で大学に出向き、企業説明会、社長と語る会、統一試験を行います。学生にとってのメリットは、学内で1度に多くの企業を受験できること、首都圏への交通費をかけずに就職活動ができることなどがあります。今年は、琉球大学工学部、高知工科大学、崇城大学、福岡大学工学部、金沢工業大学、北海道情報大学、北海道科学大学、日本大学生産工学部の8大学のべ100名の学生が参加しました。企業にとっては、共同でやることで力が大きくなり、その分成果も出ます。

 IT業界のシェアは関東80%、大阪で6%、名古屋で4%です。IT系企業で働きたい学生は東京に就職をせざるを得ないという状況もあります。ですから、究極は、東京で働き、そのノウハウ、技術を持って故郷にUターンする。そして、培った技術や人脈を生かして、地元に新たな経済活動を生み出すことを目標にしてほしい。

 同友会の活動は3つの目的を達成するために活動しています。その中でも同友会が目指す「人育て」を柱とした経営実践の根幹の活動として、経営指針、社員教育、共同求人があります。

共同求人活動は、企業の成長発展を担う根幹である「人」を採用する活動です。新卒の採用と育成の結果として「よい会社」づくりができます。

 最近は、学生の質が変わってきており、従来の企業説明会のスタイルでは、学生を呼び込むことは難しい面があります。その時の状況に合わせた採用スタイルも必要であり、業界ごとに採用を考えることも、力を結集するということでは1つの方法ではないかと思うのです。

「中小企業家しんぶん」 2015年 11月 5日号より