税制の公平さとは

税制の公平さとは

 京都でタックスヘイブン対策の会議が開催されました。日本では2015年に二重課税防止のための制度が変更され、日本の子会社の受取配当金が100%子会社の益金100%不参入は同じですが、持株割合25%以上から3分の1超が100%に改正。また2009年から導入されていた海外子会社からの受取配当金の95%益金不参入制度が変更され、オーストラリアやブラジル子会社からの配当は2016年4月から全額益金に参入されることになりました。2015年度の配当総額は6%増の約10兆3,000億円と初めて10兆円を超え、3年連続で過去最高を更新する見通し。個人投資家にも約24%約2兆4,000億円の配当がありますが圧倒的には上場企業に入る仕組みになっています。野村證券調べの配当金の推移と法人企業の内部留保の推移を見れば、上場企業は営業利益増加より配当金の増加で内部留保を増やしている相関関係が見えます(表参照)。

 ソフトバンクは2015年9月子会社モバイルテックから配当1兆4,372億円、2016年6月ソフトバンクから親のソフトバンクグループへの配当4,165億円で、売上げ9.1兆円。法人税1,403億円から見ると子会社からの配当で儲かっているというイメージになります。上場企業の連結子会社数で見れば、2011年度末の連結子会社数は4万6,314社と前年度末より4%増(日本経済新聞)。東洋経済オンラインの2015年5月期調査の連結子会社が多い上位500社の1位はソニーの1,240社、2位は1,008社の日立製作所、3位に917社でNTT、4位には796社でソフトバンクグループ、不正会計が発覚した東芝は584社で10位、トヨタ自動車が12位で541社。上場企業の連結子会社数を平均すると約20社で、2015年東証の総数の3414社で見れば6万8,000社の連結子会社があります。子会社総数は不明ですが連結だけでこれだけあるのですから相当な配当で儲かる仕組みをつくっているといえます。税制の公平さとは、を考える問題です。

「中小企業家しんぶん」 2016年 7月 25日号より