【第50回熊本同友会景況調査概要から】直接被害、間接被害合わせて75%超の事業者に震災の影響あり

 熊本同友会は4月14日に発生した熊本地震以降初となる景況調査を実施し、特別調査として熊本地震による影響を調査しました。

 4―6月期の業況判断に関するDI値は前期比△15・1(前回調査同DI値0・5)、前年同期比△20・1(前回調査同DI値6・3)、次期見通し△5・0(前回調査同DI値2・1)とすべての値がマイナス値となり、今回の震災の影響の大きさがうかがえます。中同協の同友会景況調査(DOR)の結果を下回っています。売上高、経常利益についても同様にマイナス値となりました。

 経営上の問題点では、売上の減少(80社、39・2%(回答数204に占める割合))、従業員の不足(79社、38・7%)、人件費の増加(51社、25・0%)などがあげられるとともに、その他の課題として、地震の片づけに時間がとられることとその費用負担が重い点、離職者の増加といった点の記述がありました。

 特別調査「熊本地震による影響」では熊本地震による直接被害の有無、間接被害の有無について調査を実施しました。全体では、直接被害ありと回答したのが78社(40%、有効回答数195に対する割合)、間接被害ありと回答したのが70社(35・9%)ということで、75%強の企業が何らかの被害を受けていることが明らかになりました(図)。

 業種別にみれば被害ありの割合が建設業で57・1%、製造業で82・4%、流通商業で90・0%、サービス業で73・9%であり、特に製造業、流通商業の被害を受けた割合が高くなっています。

 間接被害として、県南地域(日奈久、水俣、人吉等)、天草地域の風評被害が大きいという記述がありました。また、取引先が被災して納入できないといった被害もあるとわかりました。また、持続化補助金は販促目的なのでメーカーの設備投資には使えない、グループ補助金の活用を考えても規模が適さない可能性があるといった被害への対応に関する意見もみられました。

〈調査要項〉
集計・分析: 熊本学園大学付属産業経営研究所所長 熊本学園大学専門職大学院 准教授 公認会計士 吉川 晃史
調査時: 2016年6月6日~6月18日
対象企業: 熊本同友会会員企業
調査の方法: FAXの送受信による自計記入を求めた
回答企業数: 841社より204社の回答を得た(回答率:24.3%)(建設業43社、製造業34社、流通商業43社、サービス業74社、その他10社)
平均従業員数: 役員を含む正規従業員数 22.1人 派遣社員・臨時・パート・アルバイトの数 10.4人

「中小企業家しんぶん」 2016年 9月 5日号より