【経済データを読む】人はどこにいるのか

 人手不足感が強まっています。労働力調査7月分では、「完全失業率は3.0%と前月比0.1低下し21年ぶりの低さ。完全失業者数は203万人と前年比19万人減で74カ月連続減。就業者数は6,479万人と前年比98万人増と20カ月増で完全雇用に近いが非正規や低賃金仕事や人口減で消費に回らず。非正規比率37.6%と高止まり」と報道されています。

 しかし、2015年の労働力調査(総務省)によれば、「2015年平均の15歳以上人口1億1,056万人で労働力人口6,589万人のうち役員を除く雇用者は5,284万人で前年比44万人増加、このうち 正規の職員・従業員は3,304万人と26万人増の一方、非正規の職員・従業員は1,980万人 と18万人増。完全失業者は222万人で前年比14万人減。非労働力人口は4,467万人で16万人減」でした。

 非正規についた主な理由別をみると、「正規の職員・従業員の仕事がない」が男性は157万人(26.9%)と最も多く、女性は158万人と「不本意非正規」といわれる人が合計315万人になります(表1)。さらに非労働力人口のうち、就業希望者は412万人でそのうち「適当な仕事がありそうにない」は121万人でした(表2)。完全失業222万人+不本位315万人+仕事無121万人を合計すれば658万人もの人が希望する仕事があれば働きたいとしています。

 さらに非労働力人口のうち非求職の理由で、出産育児95万人、介護のため21万人を足せば774万人にもなります。さらに非正規労働者のうち正社員になりたい者の割合が契約社員や派遣労働者中心に2010年で22.3%(就業形態総合調査・厚生労働省)、正社員に限れば441万人も希望者がいることになりますから、総合計1,251万人もの人たちが正当な仕事を探していることになります。

「中小企業家しんぶん」 2016年 9月 25日号より