「どんなときにもさすけねえ」ホープ食品の後継者はいかに? 経営者交流大会で劇を上演【福島】

福島同友会

 老舗の納豆メーカー「ホープ食品」。今宵は、工場長として先代社長の時代から長年勤めてきた工場長の定年退職にあたっての送別会。その話を聞きつけて、元社員、そして主要取引先であるスーパーの社長も駆けつけ、酒を酌み交わしながら、ホープ食品の経営の話に花が咲く…。

 「救われたのは、先代が書いたあのことば」。
 「そう。あのことばがあったから、みんながまとまった」。
 「なんのために納豆を売るのか、きっと腑に落ちたンだと思う」。

 福島同友会で11月15日に行われた第40回経営者交流大会の記念企画での一幕です。全体会での問題提起として、「さすけねぇは魔法のことば~あんだの会社はさすけねぇ?~」と題して演劇を上演しました。

 10年前に「社長、このままではいけません」と題して分科会の1つで劇を演じたこともあって、40回という節目の今回は冒頭での全体会としてグレードアップしての上演となりました。

 脚本の作成と舞台で演じる出演者はすべて会員ですが、今回は脚色と演出に専門家を加えて、演劇としてのコミカルな要素も加わりました。脚色・演出を手掛けた大信ペリカン氏は中小企業団体中央会に勤務しながら劇団を主宰しており、いわば舞台裏では中小企業団体コラボという展開にもなりました。

 開演までに7回にわたって稽古を行ったものの、他地区からも含めて13人の出演者全員がそろったのは当日が初めて、という中でしたが、会場を埋めた400人の参加者は、笑いあり拍手ありと劇中の場面に惹きつけられていました。

 社長は後継者がいないと語っていたホープ食品ですが、震災・原発事故といったこれまでのさまざまな経験を通して、経営理念が社長・社員・取引先に勇気を与え、着実に事業展開を進め、後継者となり得る社員もちゃんと育ってきている事に気づかされるという展開。最後は「さすけねぇ節」をギター演奏とともに歌って40分に渡る芝居の幕が下り、会場は拍手の渦に包まれました。

 ※さすけねぇ=福島県で「大丈夫だ、心配しなくてよい」という意味で使われる言葉。今回の大会テーマは「さすけねぇ~大丈夫!たいせつな芽は、会社の中で育っています~」でした。

「中小企業家しんぶん」 2016年 12月 15日号より