【実践 経営指針】5 企業の社会的役割を明確にし、「人が生きる経営」の実践を【千葉】

 各同友会の経営指針実践運動の取り組みを紹介する今シリーズ。今回は、千葉同友会の経営指針成文化と実践運動の取り組みを紹介します。

 千葉同友会では「経営指針成文化セミナー」という名称で、全8講座を年に1回開催しています。

 1997年に開始し、昨年、23期を終えました。当初は「経営指針の成文化」を目的にしていましたが、ここ数年では経営指針の「実践」をめざした取り組みを進めています。

固有の役割と労使見解

千葉同友会

 その取り組みの1つは、「会社の固有の役割」の明確化です。これは、経営理念を確立するための問いかけの1つであり、これを明確にして事業展開(経営方針)の糸口を見つけます。

新たに「固有の役割」を生み出すのではなく、これまでの事業の根本を探ります。補強シートとして「固有の役割検討シート」を活用して、「あなたの会社の業種、商品、サービスがなくなったら、誰がどのように困りますか」「会社がなくなったら、属する業界はどのように困りますか」などの質問を投げかけ、自社の事業を顧客の立場から見直します。

 固有の役割、すなわち社会的役割を明確にすることで、「中小企業における労使関係の見解」(略称:「労使見解」)の5項「労使における新しい問題」で触れられている「労働者の職場選択の最大の要素である労働者のやりがいある仕事」につながります。また、ここ数年の大学新卒者が求人活動で重点を置く要素であり、同友会の共同求人活動につながり、総合的な「人を生かす経営」の実践(経営指針、社員教育、共同求人、障害者雇用)へと波及していきます。

「人を生かす経営」の総合実践

 2つ目は、千葉同友会として総合実践に取り組んでおり、「人を生かす経営」推進本部を設け、各委員長の交流を図っていることです。セミナーの最終講では、「経営指針の実践」をテーマに各専門委員によるパネルディスカッションや活動紹介を行い、経営指針の総合実践を図っています。また、共育委員会(社員教育)主催の社員研修でセミナー修了生が「経営者の思い」を報告しています。

 そして今年から共同求人委員会が共育委員会に関わり、新入社員研修に参加した社員の半年後のフォーロアップ研修を開催しました。

 こういった活動交流が進み、また、セミナー内で就業規則についての講座を設けた影響もあり、セミナー修了後に共同求人活動に参加し、これまで行ってこなかった新卒者採用に果敢に取り組む会社が増えてきました。

切磋琢磨する関係づくり

 3つ目は、セミナー終了後の実践フォローとして、地域に分かれて少人数の修了生同士の気軽な交流会「コンパスクラブ」を毎月開催しています。また、セミナー開講前には運営委員研修会を開催し、その中で「経営指針発表会」を行い実践状況についてディスカッションし、実践での教訓事例を受講生に伝えることを大事にしています。

「中小企業家しんぶん」 2017年 1月 15日号より