生産年齢人口減少からの人手不足と経済減速

 2月2日の日本経済新聞に「総務省、日本の生産年齢人口が2027年に544万人減の7,000万割れと、週1万人ペースで労働力が消える」と報じられました。数字の根拠は、総務省の2014年情報通信白書の中の推計からのようです。元は人口問題研究所の2060年までの長期推計でした(表1)。確かにこの表では2015年7,682万人から2030年には6,773万人と909万人減であり、実際に2015年の生産年齢人口(15~64歳人口)は100万以上減の7,708万人。そのうち就業者と完全失業者を合わせた労働力人口で見ると5,853万人と38万人減の傾向から言えば、報じられたとおりになります。

 日本が人口減少に入った2008年からの緩やかな影響は今後15年間に一層の労働力不足を引き起こすことが予想されます。さらに高齢者雇用を進めても2040年ごろからはその高齢者も減少していきます。このような中で経済はどうなるのか見るために指標となる潜在成長率(生産活動に必要な設備などの「資本」、労働力人口と労働時間から求められる「労働力」、技術進歩によって伸びる「生産性」の3つの伸び率の合算値)で見ると、設備投資は国内より海外が主であり、最近の技術進歩も遅れをとっている現状から、一番大きな労働力がこれだけ減ると、日本の成長力はどうなるのか過去のGDPと労働力人口の変化からあわせてみたのが(表2)です。戦後から1999年まで一貫して労働力人口が伸びていた年のGDPと比べると、労働力人口減が明らかにGDPマイナスに影響を及ぼしていることから、経済も減速が急激に起こることも考えておく必要があることがわかるデータです。

「中小企業家しんぶん」 2017年 2月 25日号より