【連載 若者雇用促進法】最終回 募集、採用にあたって留意すべき事項について

中小企業に求められる対応について

 前回は、求人不受理制度について説明しました。今回は、募集・採用にあたって留意すべき事項について説明します。

 若者雇用促進法に基づく指針(「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」〔2015年厚生労働省告示第406号〕)では、事業主の方々が、青少年の募集、採用に当たって講ずべき措置等について定めています。

 今回は、その中でも特に(1)青少年の募集に当たって遵守すべき事項(労働条件の明示)、採用内定・労働契約締結に当たり遵守すべき事項について、概要をご紹介いたします。

 (1)募集に当たって遵守すべき事項(労働条件の明示)

 青少年を募集するに当たっては、従事すべき業務の内容、労働契約の期間に関する事項、就業場所等の労働条件を明示しなければなりませんが、特に、「固定残業代」の表示をめぐるトラブルが見受けられます。

 固定残業代とは、名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金のことです。固定残業代制を採用する場合は、募集要項や求人票などに、次のイ~ハの内容をすべて明示する必要があります。

 イ 固定残業代を除いた基本給の額
 ロ 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
 ハ 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨

 (2)採用内定・労働契約締結時に当たり遵守すべき事項

 青少年に対して採用内定を行うに当たっては、採否の結果を明確に伝えるとともに、確実な採用の見通しに基づいて行うよう努めることが必要です。

 また、採用内定者に対しては、書面により、採用の時期、条件等を明示することが必要です。

 なお、採用内定者について労働契約が成立したと認められる場合には、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない採用内定の取消は無効とされることとなります。

 また、労働契約の締結に当たっては、労働基準法に基づき、労働契約の期間、就業場所、従事すべき業務に関する事項等を明示しなければならないことにもご留意ください。

 事業主の皆さまにおかれては、この指針等に基づき、青少年が次代を担う存在として活躍できるように取り組みを進めていただきますようお願いいたします。

(終)

厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部企画課若年者雇用対策室

「中小企業家しんぶん」 2017年 4月 5日号より