【中同協インド・スリランカ視察】はじめてのインド、はじめてのスリランカ

(株)地域計画建築研究所 代表取締役会長 杉原 五郎(大阪)

 中同協では12月10~16日にインド・スリランカ視察を行いました。視察に参加した杉原五郎氏(大阪同友会副代表理事)のレポートを紹介します。

 インド・デリーの印象は、第1に、クルマの洪水でまちが溢れていること。市内の道路も郊外とつながる高速道路も、至るところで大渋滞・大混雑を起こし、自動車による排気ガスで、デリーの空はどんより曇っていました。

 第2に、インドの経済は、自動車産業の発展にけん引されて好調に推移していること。デリーからバスで2時間余のニムラナ工業団地の日系企業2社を訪問しましたが、1社は、静岡に本社のある中小企業で自動車のエンジンの金型を生産し、スズキやホンダなど自動車メーカーを顧客としていました。

 第3に、国民の所得が確実に上昇して、富裕層や中間層が生まれつつあること。デリー市内に最近できたショッピングモールを歩きましたが、世界ブランドの有名ショップや飲食の店舗は、家族連れや若いカップルで賑わっていました。

 全体として、インドは、モータリゼーションに伴う交通問題、大気汚染・ゴミ・排水処理などの環境問題、経済的な格差や貧困問題を抱えながら、いままさに経済成長の真っただ中にあるとの印象を持ちました。

 スリランカ・コロンボの印象は、第1に、インド・デリーとは打って変わって、静かで穏やかなこと。空は、青くて明るく、シンガポールと幾分似たような雰囲気を感じました。

 第2に、スリランカの経済は、インドと同様、発展の途上にあること。コロンボ市内では、超高層の業務ビルやホテルの建設ラッシュが始まっていました。

 第3に、スリランカの人々は、たいへん親日的で、日本に対してあこがれを持っていること。これまで日本で研修を受け、その経験を生かしてスリランカで企業経営している3社を訪問しましたが、いずれの経営者も日本に対する深い感謝の気持ちを口にされました。

 今回の視察を通じて痛感したことは、国や地域の事情は異なっても、人間が人間として生きていくことには変わりはない、というごく当たり前の事実でした。リキシャ(ふたりのお客を乗せて人力で自転車をこぐインドの乗り物)に乗ってデリーの市場や路地をみて回って感じたことが強烈な印象として残っています。今回のインド・スリランカ視察は、私にとって「人間として生きる」原点を再確認する旅となりました。

「中小企業家しんぶん」 2017年 5月 5日号より