【中同協インド・スリランカ視察】第4回 肌感覚で理解するインド・スリランカ

(株)シティーライン 代表取締役 田浦 通(福岡)

 中同協では12月10~16日にインド・スリランカ視察を行いました。視察に参加した田浦通氏(福岡同友会会員)のレポートを紹介します。

 成田から10時間かけて到着したインド・デリーの第一印象は、スモッグがひどい、人・車が多く慢性的な交通渋滞が起き、道路のメンテナンスも間に合わない。加えて運転マナーも悪く突然左右から割り込みが多発、車のクラクションが鳴り響く最悪の交通事情でした。

 そのため、ほとんどの車両には数カ所のこすり傷があちこちに見受けられますが、そんなことは気にしないのは大陸人の大らかさなのでしょうか。

 ところで現在インドに進出している日系企業は1260社余り、日系専用のニムラナ工業団地で視察した企業2社は、進出して4~5年と比較的日が浅い中小企業でした。人口ボーナスもここ10数年つづくという、まさしくこれからの海外進出対象地ということでしょうか。またJETROにてインドの経済概況の説明を受け、この国の事情を理解しました。

 そして5日目にはインドの南に位置する国、次の訪問地スリランカへ4時間をかけて移動。この国は空気も澄んで町にもゴミなど少なく、多少交通渋滞はあるものの、インドと比べると環境は雲泥の差です。統治時代のイギリス様式の建物がホテルや高級レストランに替わり、きれいな街並みが形成されています。

 スリランカでは5S活動を日本で学び、今では5Sが無いと仕事にならないと言われるほど、職場の隅々に5Sが浸透している企業を3社視察しました。視察終了後、わが社の中途半端な5Sにショック、再度初心からスタートしようと心に決めました。

 スリランカはインドよりさらに親日で友好的な国民性、それはどこからくるのでしょうか。ガイドの方に聞くと、スリランカの国会議事堂は日本政府の寄付だと教えてくれました。また現在は国土を縦断・横断する高速道路建設にJICKを通じて支援するなど、日本国政府が遠く離れた地において国際貢献に働きかけている現場を身近に感じ、そして誇りに思いました。

 今回、日系・現地企業6社視察とインド商工会やJETROそして現地の商工団体JASTECAなどとの交流で多くの知見を得ました。間違いなくインドは近い将来中国を抜き経済大国に成長することでしょう。

 そんな発展途上国に多様なビジネスチャンスがあることを、百聞は一見に如かず肌感覚で理解したインド・スリランカの経済視察でした。

「中小企業家しんぶん」 2017年 5月 5日号より