【実践 経営指針】7 セミナーは組織経営を学ぶ場

埼玉同友会経営労働委員長 吉田 雄亮氏((株)吉田電工 代表取締役)

 各同友会の経営指針実践運動の取り組みを紹介する今シリーズ。今回は、埼玉同友会の取り組みを中同協経営労働委員会(2月9日)での埼玉同友会・吉田経営労働委員長の事例報告から紹介します。

 埼玉同友会では経営指針セミナーを1991年から行っています。現在は全9講座を半年かけて行っており、受講生は30名程度です。グループ制をとっており、受講生と委員会スタッフがそれぞれ4名、計8名前後で構成しています。同じメンバーで半年間学び合うので結束が強まり、仲間をつくる上でとても効果があります。

 修了生は、翌年から希望すればスタッフとして参加できます。スタッフとして参加することで自社の見直しにつながります。セミナー開講時には、受講生・スタッフ全員が受講動機や自社の課題などを書いて提出。スタッフもボランティアではなく、自社の経営を見直す場として位置づけています。

 現在は、セミナーの募集を開始すると、2週間程度で定員になってしまい、順番待ちの状況も生まれています。

 以前のセミナーは戦略や計画が中心でしたが、2012年、当時の委員長が「同友会の企業づくりは時間がかかる。腹をくくって取り組んでほしい。セミナーは組織経営を学ぶ場である」ということを提起。この頃から「労使見解」を第1講でしっかり学ぶなど、企業づくりをどうするか、というセミナーに変わってきました。

 委員会のあり方でも、大きな変化がありました。運営の論議だけで終わってはもったいないということで、毎回40分程度を使って「労使見解」の読み合わせをし、1つひとつの言葉の意味についてみんなで議論しました。

 2014年に企業変革支援プログラムをセミナーに導入、理念編を合宿で行うことで自社や自分とじっくり向き合うことができ、非常に効果がありました。

 2016年には労働環境整備を導入しました。労働環境チェックシートも作成し、専門家の解説、会員の実践報告、グループ討論など多面的に自社の課題を浮き彫りにしています。

 セミナー最終講の経営指針発表の際は、社員教育委員会、共同求人委員会の委員長が活動紹介を行い、修了生が新卒採用や社員教育に取り組むことを促進しています。セミナーでも人の問題にフォーカスした提起を繰り返し行っています。最近は経営計画に採用計画を盛り込み、新卒採用に取り組み始める企業も増えてきました。今年は修了生から共同求人に新規参加したところが2社生まれました。

 修了生が地区例会などで自社の実践事例を報告するケースも増えています。今後も事例報告者を数多く排出して、会員増強の起爆剤にもなっていきたいと思います。

 ※吉田氏は7月6~7日に行われる中同協第49回定時総会(愛知)第4分科会で埼玉同友会の経営指針づくりについて報告します。

「中小企業家しんぶん」 2017年 5月 5日号より