東亜大学との連携で地域の人材育成~同友会として初めて寄附講座を開催【山口】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】73

 山口同友会と学校法人東亜大学(下関市)は、2017年2月25日に経済・経営・教育・町づくり等の推進のための連携協定を結びました。この協定では、地域人財育成のために相互に関わり合いを強めていくことなどの内容になっています。

 この協定をきっかけにして、2017年4月から7月末まで毎週会員経営者が教壇に立ち、計15回の単位付きの寄附講座が始まりました。

 山口同友会にとっても初めての寄附講座ということで、まずは範囲を狭めて東亜大学人間科学部の国際交流学科の3年生の学生を対象としたものとなりました。授業の目的として、「多種多様な企業の実態を学び、その魅力を知り、労働観を養う」、「社会から望まれている人材像を知り、学生の将来の方向性の一助としてもらう」などが掲げられました。また、後期にはインターンシップも予定しており、座学で得た知識を実際に実践する機会も設けようと考えています。

 国際交流学科の学生は、留学生ばかりの約20人のクラスで、国籍も韓国、中国、インドネシア、ネパールなど東南アジア諸国から日本に学びに来ている学生たちです。多くの学生たちが、日本で働きたい、日本と母国をつなげるような仕事がしたいと夢を抱き、また自分に何ができるのか、自分は何に興味を持っているのかを自問自答しながら学びの日々を送っています。

 授業を行うにあたり、地域で働く、業界の魅力と会社の魅力をしっかりと伝えていこうということを共通課題として授業に臨みました。業界によっては、外国にはない業界の報告者もいるので、そういう方には、少し長めに時間を割いて説明を行いました。また、ほとんどの授業で、時間を取り、短い時間ですがグループ討論を行い、ディスカッションで学びをより深めるよう工夫しました。

 授業を進めていくうちに、先生方からのうれしい声が届き始めました。学科担当の先生から、「学生の職業意識が積極的に変わった」「学内会議でこの授業のことがたびたび話題にあがる」などの声があり、次年度はもう少し授業規模を拡大することを前提に話をしています。

 初めての寄附講座で戸惑うことも多いものでしたが、学生の成長に触れることができ、大学側から「この授業を学校の目玉にしたい」との声があがるなどうれしいことの多い連携開始半年となりました。

「中小企業家しんぶん」 2017年 9月 5日号より