同友会で「学びあう」とは? 中同協顧問 国吉 昌晴氏

国吉昌晴・中同協顧問

 悩みのない中小企業経営者はいないと言ってよいでしょう。中小企業家同友会は悩み多き経営者集団です。悩みをどう解決するのか。それは、同友会での「学びあい」で解決のヒントをもらい、方策を立て、自力で解決していくのです。決して他人が解決してくれるわけではありません。同友会は、自主、自立の会ですから。

同友会活動の柱は「学びあう」こと

 人は誰もが「学ぶ」ことで、自らを成長させる力を持っています。同友会は経営者がお互いの悩みや経営の体験を出し合いながら、仲間の失敗や成功の体験から知恵や教訓を共有しあう「学びあう」場なのです。

 「会員は辞書の一頁(ページ)」とも言われます。それは、一人ひとりがその人だけのかけがえのない経営体験(人生体験でもあります)を持っており、その辞書の頁が厚いほど、活用、引用できる事例は豊富になります。ですから会員数は多ければ多いほど会の財産は豊かといえるのです。

 今、私たちは、全国で4万6000頁を超える辞書を持つまでに成長しました。

報告者が一番勉強になります

 全会員が学びあえる場が例会です。例会のテーマ、報告者の設定は会員のニーズに応える内容にするのは当然ですが、できる限り会内から報告者をたてるのが基本です。それは、学ぶ側も自分自身の経営と重ね合わせながら学ぶことができるからです。例会の内容は、3カ月前から準備し、狙いを明確にし、報告者との打ち合わせもしっかりとしておきたいものです。会外からの報告者は別として、会員から報告者をたてた場合、報告者が一番勉強になると言われています。

 それは、自分自身を客観的に振り返り、経営の総括ができ、次への経営課題も明確になるからです。しかも、本番では遠慮のない質問、意見が出されます。これも同友会ならではの連帯感が生み出す試練の場ともいえるでしょう。

グループ討論の大切さ―「変化球2回ひねり」の学び

 異業種の経営体験報告は必ずしも自分の経験とは重なりません。

 「違う業種なのでピンとこない」と否定的に受け止めるのではなく、「経営者としての共通点」を引き出す努力が必要です。つまり、報告者の話から自分が学びやすい中身に変えて胸に落とし込む。これが「第1回のひねり」です。

 同友会では、必ずグループ討論を行います。報告者の話から何を学んだか、自社にどう取り入れるか等。その時、自分とは違う視点からとらえている方が必ずいます。その方は、なぜ、そういうとらえ方をしているのか。その方の立場に立った別の学びもできます。これが「第2回のひねり」です。

 同友会の学びあいは「学び方を学ぶ」ともいわれますが、真剣に臨めば臨むほど、「学ぶ力」は高まります。ここで必要なことは、相手の意見に耳を傾ける謙虚さと常に問題意識を研ぎ澄ませておくことです。

学んで実践、成果につなげよう

 同友会は、例会に限らず、あらゆる場が学びあい、育ちあう場です。特に会の役職に就くとその機会は飛躍的に高まります。どんな学びも、それを経営の現場で実践し、成果に結実させてこそ意味があります。同友会で学んで企業が良くなる、経営者も成長する、そういう企業が増えることで地域がよくなる。同友会3つの目的の総合実践がごく普通に行われてこそあなたも、企業も、地域も輝くのです。

『同友みやざき』2017年9月号より転載

「中小企業家しんぶん」 2017年 10月 5日号より