【連載 福岡事業承継塾】第2回 第1講「事業承継計画表の作成」

【連載 福岡同友会2017年度事業承継塾】第2回

福岡同友会相談役理事 すばる委員会事業承継塾長 中村 高明

 事業承継には後継者の教育も含めて、少なくとも10年間の歳月が必要です。

 私は後継者を募集したり指名したり、株式を110万円(贈与税基準)の範囲内で譲渡しだしてから11年かかっています。しかし、まだ株式をすべて譲渡できていません。

 できる限り早く事業承継に取り組むことが肝要です。

1、事業承継とは

(1) 経営そのものの承継

…経営指針書などの経営ノウハウの承継と何のために経営をするのか、経営理念の承継と人材・技術・技能・知的財産・顧客とのネットワークなどの組織の承継があります。

(2) 自社株式・事業用資産の承継

…自社株式や事業用資産の後継者への集中と遺留分への配慮と、債務保証・担保提供・保険の活用など事業承継に際して必要な資金の確保があります。

2、事業承継の手順

・事業承継計画の立案と事業承継計画表の作成

 まず現状を把握します。例えば親族関係一覧表、経営者自身の個人資産一覧表、金融機関への経営者保証一覧表、金融機関への物的担保一覧表、従業員数、事業組織図(従業員10年後の年齢表記)、経営方針、役員退職金規定、経営者の退職金の生命保険などを把握します。

 次に後継者候補をリストアップし、親族内承継ができるか、できなければ従業員へ承継するか、外部から雇い入れるか、いずれもできない場合はM&Aということになりますが、M&Aは専門家に相談した方がよいので、ここでは通常の承継について書きます。

 後継者を確定する際に、ジャパネットたかたの高田会長は、後継者の条件として「人を見る能力」「数字を作り出す能力」「会社全体を見渡す力」を挙げています。

 後継者を確定しますと、経営指針書の成文化と同時に上図の様な事業承継計画表を作成し、親族などとの調整、従業員や金融機関と事前協議を行い、後継者教育計画と合せ実践されれば企業を存続させることができます。

「中小企業家しんぶん」 2017年 10月 15日号より