予測通り景気低落、次期への期待あれどトランプリスクの懸念のこる

 同友会景況調査(DOR)124号(2018年1~3月期景況調査)の速報が発表されました。

 2017年に上昇を続けてきた主要な景況指標は、前期の予測通りすべての指標で悪化しました。次期は期待含みで若干の改善を見込んでいますが、トランプ大統領の保護主義政策への懸念は残ります。

 採算面では仕入単価の上昇傾向が続いており、特に製造業でその傾向が顕著になっています。一方で売上・客単価は下降し、価格差がさらに拡大しました。今期は「仕入単価の上昇」を経営上の問題点として挙げる企業も目立ちました。金融面では長短の借入難度の低下傾向を維持、資金繰りも余裕感を維持し安定しています。

 雇用面では人手の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)の不足傾向は高水準で横ばい、経営上の問題点として「従業員の不足」を挙げる企業が3期連続で最多、「人件費の増大」の指摘割合も2位に浮上するなど、雇用をめぐる問題は経営上の最優先課題となっています。

 投資実施割合は若干下がりましたが、設備の過不足感DI(「過剰」―「不足」割合)では不足感が高まるなど、設備投資の必要性を感じつつも様子を見ながら対応している企業も少なくないようです。

 米中貿易戦争などの政治経済的な面での不安定要素もぬぐいきれない状況ですが、仕入単価の急激な上昇への対応など、経営を継続していくための課題を明るく道理を持って1つずつ決着をめざしていくことが求められています。

 速報の詳細は中同協ホームページをご覧ください。

https://www.doyu.jp/research/dor/

表 業況判断DI、売上高DI、経常利益DI、業況水準DI

「中小企業家しんぶん」 2018年 4月 25日号より